ドラマより映画再見


「清盛」の低視聴率ぶりは地上波をほとんど見ない私でも知っています。


しかしながら、低視聴率でも一年は間違いなく続く大河ドラマのありがたさよ。途中で中断することもなければ、演出の変なてこ入れや役者の交代もありません。よく考えれば、NHKの制作陣は視聴率バッシングなんて眼中になく、作りたいものを作っているようにも見えます。


それがいい!


私は個人的に今回の「清盛」をとても楽しく見ています。前回の鹿ヶ谷事件も頼朝〜政子のターニングポイントに対比させて見応えがありました。藤本脚本はドラマの盛り上がりを常に対比で描いています。これがいつも効果的。元木泰夫先生の「平清盛後白河法皇」で毎回補足しながらドラマを思い返すのがいつも楽しみです。歴史書としての元木先生の慧眼は素晴らしいのだけれど、人物が多すぎて頭の中でイメージできないでいるのに、ドラマではそのあたりがとっても簡潔に、しかもドラマチックに描かれているのがよくわかります。東大の本郷和人先生が歴史をドラマに転換する脚本の見事さを何度もおっしゃっていたのがよくわかります。


先日ラジオで現在放送されている民放TVのドラマを列挙しているのを耳にして、題名さえも見事に全部知らない自分に驚きました。興味のないものが目の中に入ってこないんでしょうね。それらを見る時間があれば・・・と、最近は映画過去作をBS録画してみることにしています。


最近では「影武者」「用心棒」「乱」椿三十郎」の再再見の黒澤作品。D.フィンチャー「セブン」 「ジョー・ブラックをよろしく」 「ウィンターズ・ボーン」 「グラン・トリノ」といった作品。毎日30分ほどしか見る時間はないのですが、見応えは満点。忘れているシーンがたくさん。気づかなかった伏線がたっぷり。


文学でも読み返してこその名作であるように、映画も再見してこその名作なんであります。