ボストン美術館展


やっと観に行ってきました、「ボストン美術館展」名古屋に。


20代のバックパック貧乏旅行でボストンに滞在したことがあります。


シカゴからグレイハンドバスに揺られてボストンに向かう途中、隣に座ったPiggyと名乗る同世代の女性と話している内、「んじゃ、ボストンではウチに泊まればいいじゃない」という旅ならではの出会いからボストンが始まりました。とはいっても、もちろん出会ったばかりの女性の部家にひとり転がり込むわけではなく、彼女が住む6人ほどが生活するシェアハウスのカウチが私のボストンでの寝床になったのです。


同世代ばかりのシェアハウスですから面白くないわけがありません。料理を私が担当したり、毎晩遅くまで話をしたり、ボストンの街を同居人の誰かが案内してくれたり、フランクでつかず離れずのいい距離感、しかもタダ。シカゴでは西海岸では感じなかったぎすぎすした人間関係に少し落ち込んでいたのが、一転して晴れやかな気分になるボストンの日々でした。


中でも、ボストンに行くなら美術館でしょ・・・というのは、シカゴでタップリの印象派アートに溺れた私の大命題の一つでした。予想通り、ボストン美術館でもマネの「ラ・ジャポネーズ」を始め印象派の名作が山のように、しかもガラガラの展示室では私と印象派たちだけという時間もあるほどゆっくり浸れる極上の時間が過ごせたのです。ただ、ただ、名にし負うジャパン・コレクションはちょうど今のボストン美術館と同じく、大改築のためにお休み。フェノロサ ビゲローが集めた膨大なコレクションのただひとつも見ることができなかったのが痛恨の極みでした。


それから30年、やっと目にすることができたボストン美術館のジャパン・コレクションはやっぱり素晴らしかったです。


曽我蕭白の剛胆と洒脱、今まさにドラマで楽しんでいる平治物語絵巻の大胆さとリアリティ、橋本雅邦 狩野芳崖のきまじめな精密と高い芸術性、これほどの名作が一挙に見られたのが幸せでした。これが現地ボストンで会ったら夢のようにゆったりのんびり浸れたんでしょうねぇ、今度はボストンで仏教美術とともに再会したい。