宇宙人ポール


映画「宇宙人ポール」を見たのはすでに3週間ほど前。「エンディングノート」を観たのと同じ日、ずいぶん久しぶりに一日に二本の映画を続けて観てきました。


いい映画というのはとかく多角的な視点から様々な表情を見せてくれるものですが、この「宇宙人ポール」も例外ではありません。1970年代のスピールバーグ作品を初めてとして、あの当時のたくさんの映画へのオマージュにあふれています。それはあの時代から映画にのめり込んだ私にとっては、「あっ、このシーンはあの映画の!」「あのカットはあの映画のカメラワークと同じ!」「ええ!ここでこの女優が出てくるって!ET 未知との遭遇がエイリアンにぃぃ」


もう次から次へと息つく間もないほどの引用が現れて、今となっては具体的に思い出すことさえできないほど。オマージュを捧げている多くの映画をリアルタイムで観ているとは言え、そこは素人の悲しさ、理解できた部分がどれほどあるのか・・・メイキング映像、監督コメント、字幕のスーパーバイザーの町山智弘さんのお話を聞きながらもう一度観てみたいほどです。


昨年同じようにスピルバーグへのオマージュたっぷりだった「スーパーエイト」がありましたが、今回の「宇宙人ポール」の熱さはさらにヒートアップしています。


それだけでなく、映画の主題であると私が感じた、長い期間アメリカに拘束されていたポールが、私たちの大好きなユーモアにあふれリベラルで自由なアメリカを体現しているのに対して、ポールに対するアメリカ人達がガチガチの福音派であったり(ちょっとくくりが違うかも)、暴力的な輩であったりするというシニカルな対比で現代アメリカを映し出しているのが、もう素晴らしく面白いのであります。


この映画、早くも私的本年度ベスト3入り確定と思える傑作です。