引退後の楽しみでいいの?


30歳までは現役のジャズベースプレーヤーでした。アマチュアですが。


一ヶ月に5-6回ほどは地元のライブハウスに出没し、「ギャラの発生しない演奏はしない」などと冗談半分にいったりしていたものの、実際ほとんどの演奏はギャラがいただけるありがたい環境でした。


父が調理場にいて、お互いに「今日はちょっと頼むね」と仕事途中で遊びに出かけることができる夢のようなのんびりした時代であったのです。


いまでは「ちょっと頼むね」は10分たりともあり得ず、休日以外に楽器を触るゆとりなど皆無です。その休日でさえ、最後に楽器を触ったのはいつだったか?すでに記憶にさえありません。


この地では、「ハママツ・ジャズ・ウィーク」というイベントがずっと続いていて、アマチュアで活動するミュージシャン達が街中の様々な場所で演奏する期間があります。本来なら昔の音楽仲間の演奏を聴きに行くモンなのでしょうが、演奏を諦めてしまった引け目と、たっぷりのうらやましさが心の底に渦巻いていて、この期間には外に出ることさえしていませんでした。



先日、私のジャズの原点であった大学時代のビック・バンドの同窓会がありました。恒例のOB演奏が続く中、今年のメインイベントであったAKB(around 還暦band)の演奏がfacebookを通じてyou tubeで観ることができました。このAKBの主な構成メンバーは私が一年生の時の四年生達。このクラブに私が入ったときには神様のように素晴らしい演奏をしていた方々です。(一年生にとっての四年生というのは実際どこでもそんな存在なのでしょうが、実際日本のトップクラスでした)


すでに全員が白髪まじりだったり、髪が薄くなっていたりする懐かしい綿々で、多くのOBバンドがヨタヨタで現役の時の面影がないことを笑いと共に売りにしていたはずなのに、このAKB(around 還暦band)はその辺のアマチュアバンドはかなわないほど上手いのです。プロミュージシャンとして活躍しているメンバーが何人かいる事実をさっぴても、アマチュアとして現役活動をしていることがびしびし伝わる堂々たる演奏です。


あちゃーー!あれから四十年、現役を続けている先輩がこんなに多いんだぁぁ。


かなりショックでした。


この先輩達の定年後はそれまでと同じように音楽の楽しみに満ちているのです。


引退したら、借金が終わったら、時間ができたら・・・音楽活動への復帰なんていっていたら、実際に引退しても楽器を取らないはめになるに違いありません。


なんとか時間をひねくりだして、もしくは仕事を減らしても演奏することの楽しみを取り戻すべきなのかもしれない。。。。強く思った瞬間でした。