食事のスタイル


身についた食事のスタイルを崩したくない方というのはたくさんいます。


あなたは夕食に晩酌はなさいますか?たとえば、お酒と共に食事をするかたと、日頃の夕食にはお酒は飲まないという方では、食事のスタイルもスピードも全く違います。


お酒を飲む方の理想形は、ちょっとしたつまみ類をたくさん並べて少しずつつまんではお酒をゆっくり楽しみ、最後にご飯でしめるってな具合でしょうか。反対にお酒を飲まない方、飲めない方は、ご飯とともに料理を食べますから、比較的早く食事も終わるかもしれません。


地獄なのは、晩酌をゆっくりする家庭に下戸がおよばれしたとき。普段のスタイルでおかずをつまんでいても、ご飯がなかなか出てこない。早く食事を済ませたくてもお酒を飲んでいる方にあわせなくてはならない。ご飯が出てきた頃にはおなかがいっぱい・・・なんてことになるのかもしれません。



料理屋でも自分のスタイルを崩したくない方はやっぱりいます。


たとえば、お寿司屋さん。一般的にはお酒を飲まずに最初からお茶で握りだけを召し上がる方、最初にすこしつまみになるようなものを切ってもらって一杯お酒をたしなみ握りへと移行する方。中には、最初に生ビール、次に熱燗、続いて焼酎という風にお酒を次々と変えながら腰をすえて話し込み飲む方、握りは最後に1〜2種類だけ・・・なんて方もいますね。


今をときめく高級有名店でカウンターを占拠して飲み続ける自分のスタイルを崩さない方がいたりすると、店の側はもしかすると戸惑うかもしれません。お客様がお酒を飲むことをあまり喜ばない「○○」などでこのスタイルを押し通す方がいたら。。。。ああ、親方の苦り切った顔が思い浮かびそうです。


私ン処では基本的にコース料理を主眼にしてますので、おのずとスタイルは、私のアレンジした料理にお酒を飲む方飲まない方も含めて、食べ具合を見計らいながらスピードを調整していくのですが、極々まれに、飛び込みで入られた一見のお客様が「料理屋はすべからく一品料理を用意するものである」「お酒は瓶ビールに始まって焼酎をボトルで用意して飲み続けるものである」とご自身のスタイルを貫きたい方もいて、「んじゃ、最初に漬け物の盛り合わせとお造りを適当に」しばらくして「天ぷらと焼き物頂戴」 「野菜サラダ頂戴」「最後は茶そばね」という注文をされて、どちらかというと私の得意ではない仕事に戸惑いまくることが3年に一回くらいあります。


こういう店にとっては異種なお客様以外にも、居酒屋さんで飲むことしかしらない方は、すべての料理を食べきらずに、ちょっとずつ残しては皿を並べ、お酒もあれこれと雑多に注文されたりして驚くこともあります。普通に居酒屋さんを覗けばこういうスタイルの方はたくさんいるのですから、実際には戸惑う私の了見が狭いってことなのかもしれませんよね。こういうスタイルの方はグラン・メゾンにでかけても同じようにお皿を並べるんでしょうかねぇ。。。。


いずれにしても、料理屋側はできればできる注文はすべて受けたいところではあるのですが、高いお金を払う場所では店のスタイルも前もってリサーチされて自分のスタイルに店が合っているかどうかを確認してから暖簾をくぐるというのが正解だと思うんですが。。。。


私自身は食べ手として各店のスタイルに合わせることが得意な方ではあります。