歴史評価


NHKアーカイブスで観た「マイルス・デイビス」は、ミュージシャン菊地 成孔さんの分析力が見事で、リアルタイムでマイルスに傾倒してきた私などよりもずっと冷静な目でマイルスの評価がされていて驚いたものでした。渦中にいるよりも後追いで見ることの優れた視点のいい例です。



先日、BS歴史館で取り上げられたのは幕末の幕府外交史でした。


ペリー来航時の林大学頭の交渉術、ハリスとの日米和親条約の時の岩瀬忠震の辣腕など、「黒船の無理矢理の開国」「不平等条約」などの烙印を押された歴史認識とはかけ離れた優れた外交能力を改めて知り驚きの連続でした。何しろ日本人であるにもかかわらず、ペリー、ハリスの名前は知っていても、高い能力で交渉した林大学頭と岩瀬忠震の名前を教えられてもいないし、知ろうともしていなかったという事実に愕然とします(再放送を是非観てください)


150年も経ってから歴史の別の視点を得る、しかも日本人として知るべき事実を知らなかったことに、教育のあり方や施政者たちの思惑を深く考えざるを得ません。


先の大戦にしてもやっと自虐的な歴史観から脱し得る手がかりをえたくらいですから、やっぱり歴史の転換点をどう評価するかには少なくとも半世紀以上の歳月が必要なんでしょうね。


先日ラジオで内田樹先生が、歴史の評価には50年は必要である・・・したがって今回の震災と原発事故の真実も50年後の評価をみるべきなのかも・・・という趣旨の発言をなさっていたことに重なります。


しかしながら、政府や東電がなした様々な所行、発言のひとつひとつは、ひとりひとりが歴史の証言者として頭に刻んでおくべきなのでしょうね