お米は「かす」な


ご飯を炊くときにお米をといだ後に水に浸けおきます。


この浸けおくことを地方によっては「かす」といいます。


店では夏場であれば20分かして、その後ざる上げして30分-1時間くらいおきます。冬場であれば一時間ほどかします。


その後、お客様別に専用の土鍋で炊くわけです。


夜のお座敷のお客様用とは別に、仕出し用に炊飯器も用意しています。ガス釜の4升炊きと2升炊きの2種類、その別に一升以下用に家庭用の炊飯ジャーも活躍するのですが、この家庭用炊飯ジャーが壊れてしまって、netで新たに購入しました。家庭用であれば選り取り見取り、様々な種類、様々な付加価値のついた製品をいちどきにみる機会がありました。


因みに、この家庭用の炊飯ジャーって一時でも進歩を止めたら犯罪になるのではないかと思うほど、企業企業で恐ろしいほどの付加価値のつけあい、進歩の加速が進んでいるように見えますね。果たしてこれってどれくらいの違いがあるのか?ある料理好きで有名な芸能人が、TV番組で「ご飯が好きだモンだから新しいヤツが出るたびに買っていた時期があるんだけど、どれもたいして変わらないんだよなぁぁ」と。どんな宣伝文句よりもこの言葉が一番説得力を感じちゃったりして。。。って余談です。


さて、
注文した家庭用炊飯ジャーが本日やってきました。


炊飯ジャー程度であれば説明書を読むまでもない(普段でも最近は説明書はほとんど読まなくなりました)と思っていたのですが、「有名メーカーがお奨めする”かす時間”浸水時間はどれくらいのもんなんだろう?」という疑問がむくむく起きて、説明書をぱらぱらめくってみました。あれだけ美味しいご飯のできあがりにこだわりぬいているメーカーであれば、適正な浸水時間の研究もものすっごく進んでいるはず。。。ってね。


すると


「かさなくていい」「浸水時間の必要はない」と書いてあるではありませんか。逆にみ「水に浸けておく時間が長いと柔らかく炊きあがります」と書いてあります。


びっくりです。


これって無洗米のケースではありません。普通のお米のことです。


最近のお米の製法のために浸水時間がいらなくなったというのではなくて、きっと、「浸水時間も炊飯ジャーの炊飯時間に組み込まれています」ってことなんですね。料理を知らないおかあさん(男性も)が多くなってお米をといだら”かす”・・・って作業も炊飯ジャー機械的に担当しているっていうことなんですね。


そういう時代の変遷を知らずに、説明書も読まずに炊飯ジャーでご飯を炊いていると、なんだか柔らかいご飯のできあがりが当たり前になってしまうんですねぇ。この企業のかゆいところに手が届きすぎている傾向・・・どうなんでしょ。料理人だけにちょっと疑問。