なぁぁんだ、そういうことだったのか。
昨日お話に及んだ「未知との遭遇」が、監督であるスピルバーグのどういう心の変遷の中で出来上がり、その後の彼の映画製作の過程でどういう変化をしていくのか?
つい先日読んだ町山智浩さんの「映画の見方がわかる本」で詳しく取り上げられています。
目から鱗でした。
今、私が最も信用している映画評論を発しているのがこの町山智浩さんとライムスター宇多丸さんです。
町山さんがラジオで取り上げる映画にはずれがあったことがありません。といいながら彼の映画評論をまとめて読んだのは今回がはじめてであったのです。これが「未知との遭遇」だけでなく、すべての取り上げられた映画に渡って私に新しい視点を与えてくれました。
「2001年宇宙の旅」
「俺たちに明日はない」
「卒業」
「イージーライダー」
「猿の惑星」
「フレンチ・コネクション」
「ダーティーハリー」
「時計じかけのオレンジ」
「地獄の黙示録」
「タクシー・ドライバー」
「ロッキー」
「未知との遭遇」
ありがたいことにすべての映画が私にとってドンピシャ。「時計じかけのオレンジ」以外は最低でも二回以上観ている作品ばかりです。
映画は評論に影響されるのではなく、作品そのもので判断すべきである・・・と私もほぼ信じていたのですが、町山さんの評論に触れてからは180度の宗旨変えです。正しい評論は映画を深く楽しく心地よく鑑賞させてくれます。
典型的だったのが「2001年宇宙の旅」
このキューブリックの名作が上映された当時私は中学生でした。
私のようにボンクラ中学生でなくてもこの映画は難しくて、封切り当時、特に映画の後半はなにがなにやらわからない難解な映画でした。モノリスがなんなのか?ボーマンの視覚に止めどもなく入ってくる光のシャワーは何なのか?木星の宇宙空間に浮かぶモノリスと月で発見された同じ物は同一なのか?突然現れる白い部屋と老人、そして胎児は何の象徴なのか?
大人になるまでに劇場で三回観て、「モノリスは神の象徴に違いない」と、中学からボンクラのままの私は(見当違いな)結論に達したわけですが、ほかの疑問はそのままでした。なにしろ1960年代は、難解なものが高級であってインテリジェンスを刺激するもの・・・という時代でした。わけがわからなければわからないほど知的であると思い込んで、わかったふりをする若者があふれていました。ボンクラな私ももちろんお兄さんたちのそういう姿に憧れまくっていた時代です。
ところが町山さんの映画評論でこれらの疑問はすべて解消しちゃったのです。
なぁぁんだ、そういうことぉぉぉ。
「2001年宇宙の旅」ファンの方々には周知の事実かも知れませんが、未だに不可解で難解な映画だと思っている方、町山さんの本を覗いてみてください。私は遅すぎた感がありますが、読んでみてよかった。スッキリ!
映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2002/08
- メディア: 単行本
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