スーパー8


封切りを楽しみにしていたJ.J.エイブラムス監督作品「スーパー8」を観てきました。


映画全体を包む1970年代後半のトーンに始まり、様々なシーンがスピルバーグの「未知との遭遇」「E.T.」へのオマージュに満ち満ちているのです。


未知との遭遇世代の私にはそこンところがまずたまりません。



映画を見始めたのは大学生の時代1970年代半ばからでした。


学生の四年間はロードショーを観るゆとりなどなく、創刊間もないぴあをマーカーで真っ赤に線引きしながら、三本立て300円の名画座に通いました。当然のように旧作ばかりで、ロードショーをオンザタイムで観るようになったのは大阪で給料をもらうようになってからです。1977年。アメリカン・ニューシネマの時代が終わりを迎えつつもベトナム戦争後遺症の映画がまだ多く封切られる中、現れたのが「未知との遭遇」でした。


山の遠くのほうで光が見える何が待っているのかわからないポスター、「第三種接近遭遇」とは地球外生物との接触であることをにおわせる予告編。しかしながら映画で何が起きるのかは絶対に明かされない状態が封切りまで続きました。


公開を待ちわびて現れたのが、地球外生物が現れ、人間に友好的に接触するという驚天動地の世界だったのです。


あの時代、宇宙人はすべからく地球征服のためにやってくるものでした。ましてや、あの「ジョーズ」で恐怖の極限を表したスピルバーグの監督作品です。恐ろしい恐怖を煽る演出の前半からは宇宙人が友好的であることを想像することは100%できませんでした。


なんという監督であろうか!アメリカン・ニューシネマ以降の暴力と悲惨なエンディングになれた私たち世代に新しい光を見せてくれたのが「未知との遭遇」であったのです。それはリアルタイムであの時代に封切り直後に観た人間でなければわからない快活な世界の幕開きでした。その感動があまりにも大きくて、翌年公開された「スターウォーズ」よりも「E.T.]よりも「エイリアン」よりもやっぱり私には「未知との遭遇」そこが一番の特別な映画であり続けました。


んで、その「未知との遭遇」に敬意を表した「スーパー8」です。


敬意を評しているというだけで二割り増し映画を観てしまうのですが、確かによくできた秀作ではあっても、「未知との遭遇」で私の思惑を見事にひっくり返したような驚きや感動まではありません。そこンところがとっても残念。それでも観る価値は十分すぎるほどある映画です。(本編についてはネタばれになりそうで多くは語れません)


結局 エイブラムスって「クローバーフィールド」的なサイズと思考でずっと映画を作る人なのかなぁ?