若い力


この2-3年の不景気の中、個人店で力を感じる店がオープンすることがまれになっています。特に田舎町では。


昨日伺ったのは以前からうわさを聞いていた小さなレストラン。定休日が同じと聞いてなかなか訪問する機会が見つからなかったのですが、昨日やっと伺うことができました(実際には定休日は重なっていませんでした)


カウンターだけの10席にオーナーシェフ夫妻とサービスの女性がひとり、こぢんまりとしながら隅々まで清楚に気持ちよく整えられています。それだけで期待が高まります。


アミューズブロッコリーブランマンジェズワイガニシャンパングラスに盛られたその皿はブランマンジェの濃厚さとズワイガニのみずみずしさがひとつになってバランスのいい料理です。スプマンテとの相性も抜群。


前菜はフランス産のしゃきしゃき感を残して茹でられたホワイトアスパラに鳥貝蛍烏賊、あわびを添えたサラダ仕立て、茗荷のドレッシングにバジルソースがアクセントになっています。これもスプマンテと一緒に口の中でとけこみます。


パスタが二種類。トマトの風味の海栗のフェデリーニ冷製と、各種きのこのラグーソースのパスタ。ここでイタリアのシャルドネを使った白ワインへ。普段馴染みのないイタリアの樽香が馥郁としたシャルドネがトマト海栗ソースと絶妙にあいます。トマトの酸味とシャルドネのやさしい産が口の中で一体となって幸せな気分に。ラグーソースにはガイヤの赤(メルロ シラー)


メインには合鴨のロースト バルサミコのソース。鴨の火通し具合が素晴らしい。


30代と見えるシェフ達三人の押し付けがましくないサービスと流れるような料理の数々。自分の30代を思い返すと、これほどの完成度には到底いたっていない未熟さだけが思い返せます。さらに、私の場合、ギラギラとアグレッシブさだけが前面に出ていた若い時代に比べて見せ全体がなんとしなやかなことか。若さと熟達が渾然となったいい店が現れたことに大きな拍手です。



料理の途中で「弁いちさんですよね」と。。。。


聞けばシェフ夫妻 サービス女性の三人ともが私の店にお越しいただいていたようで。。。。冷や汗が出ました。美人は忘れない私なのですが。。。。(健忘症)ヤバっ。