ファインアートの爆発力

ビートたけしさんのBS番組 「たけしアート☆ビート」第一回放送の蔡國強さんの花火アートを見てぶっ飛びました。アートにはとんと疎い私でも「こりゃぁ すっげー!」と言葉に出てしまうほどのパフォーマンスです。火薬のもつ制御できない破壊力と、繊細で計算されたテクニックで想像を超えたアートが誕生する瞬間を見られたのは刺激的でした。


ファイン・アートのもつ迫力というのは素人をも感動させる力を持っています。そのプリミティブな感動こそがアートの源泉なのでしょう。


一ヶ月ほど前、静岡で「棟方志功展」を見てきました。ここで40年ぶりに再会した「大世界の柵」は、1970年の大阪万博で民芸館に飾られていたものです。私がアートの迫力に初めて打ちのめされたのがこの棟方志功「大世界の柵」でした。中学から高校生になった頃だった大阪万博、わけもわからずに比較的空いていただけで入館した民芸館の高い処に飾られたこの迫力の大板画を目にして、声もでないほど驚いたことを今でも思い返せます。なにしろ、田舎町の小坊主ですから美術館に行ったこともなければ、名画と言われるものも写真で目にしたことがあるだけで、アートに感動することなど思いもよらないウブです。そんな田舎モノでさえ圧倒したのが棟方であったのです。これ以降、TVでも雑誌でも棟方と見れば食い入るように見るようになり、その作品の虜になりました。理解する以前に怒涛のような感動が襲ってくるアートの凄さは棟方に教えてもらいました。


蔡國強さんの作品には同じ輝きが充満しています。


これ、実物を観てみたいなぁ。



大阪万博といえば、先日NHKで放映された連続ドラマ「TAROの塔」と「太郎と敏子〜瀬戸内寂聴が語る究極の愛〜」が秀逸でありました。


TAROの塔」では松尾スズキ岡本太郎が歴史に残る素晴らしさ、「太郎と敏子」では瀬戸内さんならではの愛憎表現と二人の関係へのまなざしの絶妙さ、見応えがありました。連続ドラマを楽しみにしたのは何年ぶりでしょう?


万博の時、10代半ばの私にとって、棟方志功の爆発には熱のように浮かされても、太陽の塔の芸術性を感じる感性は皆無でした。1970年に丹下謙三や岡本太郎を作品として見つめ、万博を俯瞰で見られた大人がどれだけいたんでしょうか?私なんぞ、子供心に輝かしい科学の未来がやってくるに違いない・・・と大坂のやっつけ商売の貧弱な宿でうっすら希望をいただいていたような気がします。