藤森さんのベスト10


 10位 オビエドアストゥリアス王国の建造物(スペイン)
 9位 メテオラ(ギリシア
 8位 カッパドキア(トルコ)
 7位 アルベロベッロのトゥルッリ(イタリア)
 6位 天壇(中国)
 5位 古代都市テオティワカン(メキシコ)
 4位 ストーンヘンジ(イギリス)
 3位 白川郷五箇山(日本)
 2位 ウルネスの木造教会ノルウェー
 1位 ジェンネ旧市街(マリ)




十位から一位まであげて、映像としてすべてが頭の中に浮かぶ方はどれだけいるでしょう。


恥ずかしながら私は・・・というと、TV上で映像が流れて初めて、「ああ、あの」と九位から一位までは(白川郷以外は)「見た事はある」程度で、十位のオビエドアストゥリアス王国の建造物は全くの未知でした。


これらは建築史家藤森照信さんがあげた世界遺産 建築遺産のベスト10です。


近頃ではTVでは世界遺産というとお決まりの有名地 有名建築があげられる中、気持ちのいいほど私的にはほとんど未知の、しかも主張の通った知的な刺激を受ける内容です。


十位から四位までは石の建造物、二位三位は木、一位は泥です。


西洋始め、多くの文明の建築が、木から石へと変遷したのに対し、日本では石から木へと移っていきました。藤森氏は、地質の違いから「良い石が採れるところで良い木は採れない、良い木が採れるところで良い石は採れない」といいます。木の建築を発達させた民族は、この技術をもって船を造り、侵略や交易に力を発揮しました(倭寇・バイキングなど)。木の文化、石の文化の違いは、後々まで人々の暮らしのあり方、歴史に大きな影響を与えることとなったのだそうです。


 しかし「7、8年前なら木造をトップにしたが」と前置きした上で、藤森さんが1位に選んだのは、マリ・ジェンネ旧市街の泥塗りのモスク。藤森さんは泥を「もっとも人間にとって本質的な材料」というのです。この建築は川から採れる泥を日干しのレンガにし、人間の手で塗り固めることだけからできています。また、石、木など一切の素材は分解されれば土となることから、泥は「究極の素材」ともいうそうです。土でできた建築は地面との境目を持たないのです。


こういう刺激的な番組こそを待っていました。


しかし、日本人に人気の世界遺産、このうち90%すでに訪問済みなんて素人の旅行好きがいるから恐ろしい。