大地震


「おっ、地震だ。揺れが長いな。この後大きな揺れがくるのかな?」と休憩時間中に本を読む手を止め、天井の照明の揺れを見ていました。


と、すぐに連れ合いが「東北が凄い揺れらしい」と知らせてくれました。


TVをみると津波警報が出ているものの、到達時間になっても潮位に変化はなく、安心して仕事に入ろうと調理場に降りようとしたそのときから、信じられない映像が次から次への流れてきました。


津波の衝撃的な動画をライブで見たのはたぶん初めてです。



これまで「○○地方で大きな地震がありました」という実況があっても、見られるのはその時たまたまvideoを持っていた人々(放送局員)の揺れの映像を録画で見られるものだけでした。津波に至っては、15年くらい前にはNHKの特集で「チリ地震の巨大な津波がここまで到達していた」と10mくらいの津波を足跡で検証するくらいがせいぜいで、奥尻島津波の時も、その後の惨状から威力を想像するしかありませんでした。津波そのものをみたのが、たぶん新潟地震の海の映像くらいで、インドネシア地震津波映像のすさまじさでやっとその信じられないほどの脅威に目覚めたのでした。


それが今回、今、ほんのちょっと北の同胞たちをのみこんでしまう悪夢のような映像がライブで送られてきていたのです。


「ああああ、自動車でそっちの方向へいっちゃぁだめだぁ」
「あと10秒でのみこまれちゃうぅ」


ヘリコプターからの俯瞰映像だからわかることも、命に関わっている現地で逃げ惑う人達には伝わらないもどかしさに身がよじれそうです。後の放送には載ってこない危うい映像がライブではドンドン流れてきていました。


なんという恐ろしい惨状、想像を遥かに超えたすさまじい自然の破壊力でしょう。


東海地震を目の前にして長く過ごしてきた私達の身近に「地震がおきたらできるだけ高い場所に避難しましょう」という標語は映像一つで大きな説得力をもって迫ってきました。



映像的に劇的に変化をした今、情報も多元的になりました。


今回、東京にいる子供達の安否を確認できたのはtwitterダイレクト・メッセージのおかげでした。接続が一番危ういかと思われていたtwitterではフォローワーからTVなど問題にならないほどきめ細かな有益な情報が次々と流れ、半日もしない間に、twitter上に被災しなかった私達に何ができるかの試行錯誤があふれるほどにあわられてきました。


阪神大震災で得た教訓を書く方、元気づけるための素晴らしいイラストレーションを次々書き上げる漫画家、節電のためのポスターを書くデザイナー達、帰宅難民のための近隣の情報を流す市井の人々、被災した外国人のために情報を翻訳する人達、支援金のために早くも行動する方々、海外から今回の被災日本の人達の徳と礼節の高さを賞賛する報道を流す方・・・・


まれに未確認の誤報を垂れ流す人がいても、net上でちょっと調べれば信じるべきかどうかもすぐにわかります。かえってそういう人々をフォローからはずすいい機会にもなりました。


TVや政府の情報にいらだつときも、ustreamでは原発専門家の事故に対する信憑性の高い解説が聞け、ラジオでは同じ映像ばかりを流すTVとは対照的に冷静で元気をもらう「タマフル」や「上杉隆さんの番組」が流されていました。


もう、こういう大災害の時、新聞TV大手マスコミにいらだたなくてもいいのです。時代が明らかに変化したことがわかります。


今、幸いにも被災しなかった私達がすることは、北の地で苦しい思いをしている方々のために祈り、できる限りの節電をし、支援金に協力し、さらに自分の専門分野で何ができるのかを考えること。それらもnet上から教えられました。行動を起さずにじっと見つめることも時に必要であることさえ。


亡くなった方々のご冥福をお祈りし、被災し途方にくれる方々を応援します、私達。