どうやら宇多田ヒカル


どうやら宇多田ヒカルは凄いらしい。


なぁぁんてことは、CDの売行き的にも、世間一般の音楽的認識でも、何をいまさら・・・というほど普通のことです。


15歳のデビューから音楽的に完成度が高くて、英語がネイティブと同じレベルでしゃべることができて、歌は上手いは、作詞能力はその文学的素養の裏づけから完璧だわ・・・なんてことくらいはずーーと前から私だって知っていました。


んでも、若くしてここまで高い評価を得て、世間でもてはやされると、天邪鬼な私はずっと遠くのほうからチラッ、チラッとしか眺めることしかしなくなってしまうのです。若さと音楽的天才性へのひがみなんでしょうかね(本来ひがむのは近いレベルにあるからなんでしょうが・・@汗) んで、TVなどで素顔がちょっと見えると、「付き合うには面倒くさそうな娘だなぁ」(なんて接点があるはずもないのに)・・・と。


まっ、ともかくも、あまり近づきたくないミュージシャンであったのです。


ところが、先日のタマフル(ライムスター 宇多丸のウィークエンド・シャッフル)の宇多田特集を聴いてみて、俄然興味がわいてきました。そこまで凄いなら聴いてみようか。知らなかったのは、作詞作曲だけでなく、アレンジメントとプログラミングの多くまで自分でこなし、バックコーラスもひとりでこなしているってこと(これも世間的には常識?)


それではともかくも全部聴いてみよう。


そういう時、こういう人気ミュージシャンは便利です。なにしろレンタル屋さんにアルバムはすべて、しかも一アルバムにつき数枚づつ置いてあるのです。自分の好きなジャズ、クラシック、落語ではありえません。休日の5枚のアルバムを借りてきて聴いて見ました。


確かに創造力豊かで、曲造りのセンスが抜群だし、詩はよくこなれているし、アレンジメントも緻密だし、音作りに徹底的に妥協していないし、一枚ごと、年代ごとに進歩があるし、言うことがないんだけれど、心に響くにはもう一つ。


どんな分野でもそうですが、素晴らしい・・・ってことと、惚れる・・・ってことは決定的に違うんですね。なにより、バックのアレンジも音造りも凄いんだけれど、それが全部バックトラックとしてしか認識できないんですよね。かっこいいんだけど揺さぶられない。ライブで凄腕ミュージシャンがバックを固めるとまた違うのかも。


いずれにしても、今しばらく聴いてみよっと、宇多田。年寄りの冷や水・・・か?これ。