語りの素晴らしさ
NHKFM土曜日の「FMシアター」は奥野修司さんの傑作「心にナイフをしのばせて」をドラマ化した番組でした(再放送らしい)
これが心にぐさっときました。
この番組、時に快作が現れるのです。
「心にナイフをしのばせて」は以前に原作にも読んでいますが、緻密に事実を積み重ねている原作に比べ、50分の間にそれらを集約させているためにひりひりとするような現実がよりストレートに響きます。読む以上に有能な役者達に物語が語られたとき、ノンフィクションの壁を越えて複雑なドラマのような様相をみせてくれるのです。役者だけでなく脚本家の能力の高さも手伝って、ラジオドラマならではよさが伝わる名作に仕上がっていました。ラジオファンであることの至福のときです。
夢枕獏さんが創る新作落語(楽語)と講談を演じる気鋭の集団SWAがあります。
文庫本でも出版されているのを見て購入してみました。
たまたまちょっと前に柳家 喬太郎の「鬼背参り」(夢枕獏作)をCDで聴いて、「こ、これはもう古典だ!」と思うほど風格のある落語であることに驚いたのです。実際、この文庫にも収録されて、早速読んでみると、喬太郎さんの語りが自分で読むことよりも数段素晴らしい。
これこそが話芸なのですね。