映画「ヒックとドラゴン」


「CGアニメだからダメ」「子供用だからNG」の呪縛からほぼ解き放たれて、「ピクサーだから観にいく」「ジョン・ラセターだから追いかける」に変遷した私に、ドリーム・ワークスが追い討ちをかけました。「CGアニメだから」要チェックの時代になるかもしれません。


ロードショーも終わり間近の「ヒックとドラゴン」 巷の噂通り、文句のつけようのないほど完成度の高い、とてつもなくステキな映画でした。


映画館の8割は子供連れの家族です。といっても、映画の内容はすべての映画ファンを説き伏せる優れた脚本で骨格が造られていました。


ある人は「この映画の深さは子供の理解を遥かに超えている」とおっしゃるかもしれません。しかしながら隣の小さな男の子は最初から最後まで興奮した様子でお母さんに語りかけていました。


そう、優れた映画は全方位的に人々の心に訴えかけるのです。ある人にとっては息子の父親超えの映画であり、ある人にとっては冒険活劇であり、ある人にとっては少年と少女の淡い恋物語であり、ある人にとっては理解し合えなかった二つの種族の融合物語であり、ある人にとっては空飛ぶ空中浮遊の物語であるのです。


それらをすべてひっくるめても実によく脚本が練られています。それに加え、CGアニメーション 3Dの映像の迫力は「この映像、どうやって創っているんだろう?」などという疑問を抱かせる間もないほどスピード感に溢れ、最初から最後まで疾走するのです。


この映画、アニメだからといって敬遠する人、レンタルDVDで充分と映画館で観ない人がいたとしたら大きな映画人生の損失であることは間違いありません。