台湾〜麺


台北で食べた麺は三種類


夜市で食べた阿宗麺線


鼎泰豐で食べた豚ともやし 白菜の麺


そして一番印象的だったのが山西刀削麺の牛肉とトマトの刀削麺


台湾のというよりは中国本土の料理なんでしょうが、これまで食べた刀削麺の中では一番好みです。


こんなことして削っていくヤツですね。麺の太さがまちまちだし、短くてツルツルと食べられるわけではないのですが、独特の歯ごたえと牛肉とトマトの相性の良さでスープもとっても面白いのです。



よく海外旅行をした方々がかの国の料理を評して、(たとえば麺であれば)「日本のラーメンのほうがずっとレベルが高い」とか「蕎麦の香りの高さやコシに比べると稚拙だ」などと、「やっぱり日本が一番」を強調したりするのですが、これは全く意味のない、ある意味かの国に失礼なお話です。


たとえがわかりやすいのでよく比べられるラーメン、蕎麦を例に挙げれば、日本の一点に特化してブームとともに進化をし続けたり「こだわり」続けたりすること自体、文化としては異様なのです。その同じ感覚をもってして「同じ麺だから」と比べて評するのはいかがなものでしょうか。確かに中国人も「日本のラーメンは美味しい」というように他国でも認めてもらえる味わいの域まで達しているのかもしれませんが、三十年四十年前のラーメン、蕎麦を取り巻く事情を憶えていらっしゃるでしょうか?進化を続けてここまできた「今」の事情と、文化の発達の仕組みも民族性も違う国の麺とを同列でどっちが美味しいなど比べるべくもありません。かの国の文化をそれはそれとして敬い謙虚な気持ちで味あわなければ旅行をする楽しみは半減してしまいます。


コシなどとは別の麺の種類で、暑い中のとろみのある化学調味料を感じるスープであっても、阿宗麺線はモツの歯ごたえと夜市の熱気の中で食べるからこそムードを味わえるのであるし、日本のようにブームにのっかるとどこにいっても同じような麺しか存在しない単一的な麺文化からみると刀削麺を初めとしたバラエティーにとんだ麺の種類、スープの種類に彩られた中国の麺には学ぶところがたっぷりあるのです。


今の日本の食文化は、その道に携わるものから見ても繊細で清潔で、きめ細かなサービスとともにて提供されていることは世界に誇るべき水準であると思うのですが、それをもってして、他国の文化としての食を否定的に語たることはしてはいけません。私が知っている昭和30年代の食がどんなもんであったか、その時代に遡って他国と比べてみたら大きなことを言えるものなのか?文化は発展し爛熟し・・・衰退していくのです。つまらぬ批判をするよりは躍動してうごめいている文化を楽しむ能力を持つことのほうが大切なのだと思うのです。