台湾〜故宮博物院


台北の夜市の猥雑と喧騒に心がざわざわし、朝市のみなぎる活力に身体全体がワクワクし、「迪化街」の乾物と漢方の膨大さに頭がクラクラした私が、心底やられてしまったのは「故宮博物院


なんという民族の執拗さ、執着心の激しさ、とどまるところをしらない粘着質な情熱。


ルーブル大英博物館もメトロポリタン・ミュージアムも世界中から集めた収集品(略奪品も)なわけで、この展示物が中国というただ一国の歴史と文化であって、職工 芸術家達が皇帝を頂点に極々少数の権力者のためだけに情熱が注いだことを思うと呆然と立ち尽くします。


最初に入った陶器磁器の展示物から筆舌に尽くしがたい精緻と膨大さ。日本の桃山期以降の陶磁器のお手本となった器たちが燦然と光り輝いています。恥ずかしながらそれらの本物を見るのは今回が初めてです。一枚一枚の前で感嘆の声を上げ、嘗め尽くすように見ていくと、6個のセクションのうちのたった一つのために二時間半が過ぎていました。


もうこのセクションだけでおなかいっぱい。水晶白菜豚の角煮にたどり着けるのだろうか?と疲れ果てた身をカフェテラスで癒します。


漢字を想像で解読して注文し現れたのがこれ



ホットオレンジジュースベースにライムや酢橘の小ぶりなヤツ、甘く干した梅干 杏みたいなヤツなどなどが入った美味しくて、ほっと温まる、想像とはべっこの飲み物でした。


気分を新たに再び展示物を・・・もう後は皆さんが実際にご覧になったほうがよろしいかと。あれは実物を見なければだめです。鑑定団で「故宮博物院で同じものを見た」とのたまう骨董収集家はきっと2時間ツアーでご覧になったに違いありません。2時間では主な展示品さえ押さえられないほどの膨大さであったのですね。


美術館 博物館でこれほど疲れたことはありませんでした。その疲れは民族の熱にやられたのです。