乾物〜 迪化街


台湾行きの大きな目的のひとつが「迪化街」 乾物 漢方 布を商う店が軒を連ねる街です。


日本料理でも乾物を使うことは多いのですが、中国の乾物の歴史とその多様さには比べるべくもありません。


タクシーで降り立った迪化街、すぐにもよりの銀行を見つけて両替し、端から一軒づつ眺めて流していくと、いきなり想像を遥かに超える店の数と乾物の種類にクラクラします。


何しろ干し海老だけでざっとこれだけの種類




干し椎茸だけでこの分量と種類



日本では手に入りにくくなったキンコ(干しなまこ)もこの豊富さ



さらに漢字を見ても想像もつかない乾物がぞろぞろ並んでいます。



民族の執着、粘度、情熱をこの街をみただけで感じざるを得ません。



手に入れたかった乾燥牡蠣と乾燥ムール貝を見つけた店には、干し海老も豊富、天然きくらげもあって、片言の日本語をしゃべる奥さんの解説を聞きながら様々な種類の乾物を購入し始めると、買い物に立ち寄った老婦人が流暢な日本語でしゃべりかけてくれました。85歳とはとても見えないその女性の通訳の手助けで、買い物はさらにスームスに運び、ついでに「こんなお茶を手に入れるのはどの店がいいの?」と女主人に尋ねると、「こっちこっち」と手を引いて隣の店へ。お隣はお茶屋さんでした。


ここでも乾物屋女主人と日本語ペラペラの老婦人の通訳で買い物を続け、「んじゃ、漢方は?」と私。


「これはこっちこっち」と再び手を引かれて反対隣へ。向こう三軒両隣が「乾物 漢方 お茶」と通訳付きで買い物が出来たわけです。


さて、漢方の店は日本語も英語も全く通じないので、メモを使って狙っていた「牛黄」と書くと、兄弟と思しき店主の弟さんが兄さんに「○○○○・・・」とちょっと困ったようにお兄さんにしゃべりかけます。お兄さんもちょっとためらうように店の隅にある金庫の前に立ちダイヤルを合わせて小さなケースを取り出しました。


中からはこんなシロモンが



値段は通訳代わりの二人の女性がビックリした顔で教えてくれました。


「これだけで10万元(三十万円)ですって!」


高価な品物であることは重々承知していたのですが、ちょっとたじろいで「こりゃ無理無理」とあきらめ顔を浮かべると、つかさず「それじゃぁ○○元分だけ測ってもらえばいいじゃない」と、すでにコーディネーターとなっている乾物屋の女主人が漢方屋兄弟に交渉してくれます。


「いいお客さんなんだからまけてあげてよ!」(老婦人の通訳)とも添えてくれ、すぐに飲めるように細かいパウダー状に加工してくれて手渡してくれました。



”Discount!”ばかりを主張する買い物と違って、偶然とはいえ通訳つきのこめ細かで満足のいく買い物ができ福福な気分の「迪化街」でありました。