こころに残る店


先日私よりも一回り若いお寿司屋さんが癌で亡くなられたと聞きました。病気に気がついたときにはすでに手遅れであったそうです。



この地では頭一つ抜け出た仕事をされている方でした。


いい仕事の噂を聞いて伺った時には、若いのに自分の仕事に謙虚で偉ぶるところがひとつもないさわやかな職人さんでした。残念なことに「またもう一度・・・」と思いながら裏を返せないでいました。


私の記憶には間違いなく残るいい仕事、いいお店でありました。


料理店、料理人の仕事が人の記憶に残るというのはなかなかできることではありません。


「ああ、もう一度あの人の料理を食べておきたかった」と惜しむ心。


自分をふり返ったとき、お得意様のひとりでも私の仕事を心に留めておいてくださるだろうか???


心もとないことこの上ありません。