椅子


椅子が好きになったのは25-30年位前です。


自分の家を建てようかとなれば当然応接セットやらダイニングセットなんてものが必要になるわけで、それらは町の家具屋さんで選ぶのが当然の時代でした。選択肢はその時代少ないのが当たり前でした。


そんな中目に焼きついたのがアルフレックスのマレンコ。


こんなカッコイイソファがあったら素敵だぁ。。。とは思っても金額的に全く手が出なくて、それでもがんばってフクラのソファを長いこと使っていました。


興味が出てくると自然にヨーロッパの椅子が目につくようになります。それは街の家具屋さんで見かける椅子とは全く別物、まさに当時の憧れの椅子たちがやっと日本に紹介され始めた時代でした。



かっこいいとはいっても果たしてそれらは座りやすいのか?カタログや写真で見る椅子に始めて座ったのは、ハンス・ウェグナーのチャイナ・チェアでした。



何の変哲もない木の椅子にみえるでしょ?これは実物を見て座った人でないとわからないのです。姿も美しいのですが、腰をおろすとそのすわり心地の圧倒的なよさにしばし呆然として動けないのです。


マレンコはただ格好良さだけで憧れたソファであったのですが、チャイナ・チェアは私にとって心まで揺さぶられる椅子の原点となりました。



その後、世界に知られる名デザインの数々を知ることになるわけですが、もう一つチャイナ・チェアとともに原点となったのがマリオ・ベリーニのキャブ。



これも座ったと同時にため息が出てしまうのです。シンプルこの上ないデザインながらその質感とすわり心地の素晴らしさは、チャイナ・チェアと同様にもう一つの私の憧れとなりました。



ルフレックスやロルフ・ベンツは手に入れて長く使っていてもチャイナ・チェアとキャブは未だに私のものにはなっていません。憧れてすでに20年、早くしないと憧れだけで終わってしまう。