現場では


これもお得意様には周知の事実ながら、ここまでお話をしてきましたので、実際にはどんなお酒どんな順番でお出ししているのか、お話してみます。


意識的にはではなく、お客様個々ですべてお酒の出し方は違います。それは昨日までにお話したとおりです。



たとえばある日の三組の日本酒をご所望されたお客様にお出ししたお酒。



一組みはもう長いお付き合いのお得意様が接待を受けてお越しでした。


ガージェリービールを一杯飲んだ後、お日本酒はお椀のときにご注文でした。すでに頭の中で今日の組み立てはほぼ出来上がっています。


飛露喜 純米吟醸雄町生 愛山生 山田錦生を三種類並べて
お造りには花垣 出品酒平成21年
煮物にはやっぱり満寿泉蔵内長期熟成 限定
焼き物には初亀 滝上秀三 三年冷温熟成(滝上作)


比較的オーソドックスな私ン処の様々な味を網羅したラインアップ


 

次の一組もお得意様ながら一週間前にご来店いただいたお客様(料理もお酒もすべて変えます)
ご注文をいただいたときにはお料理はお造りの時点


大村屋酒造 般若
朝日酒造 純米大吟醸無濾過生原酒 限定を煮物に
焼き物には田酒純米大吟醸斗瓶
さらに
十四代純米大吟醸七垂二十貫と双虹を並べて。


こちらは最近嗜好が変わって十四代に目覚めたお客様。愛山を使った十四代の二種類をいっしょに飲み比べることを頂点に持ってこうようと狙っていました。



もう一組は一見のお客様。こちらも十四代を置いていることを知って是非・・・というご要望がありました。
お酒はお椀の時点でのご注文


お椀に十四代酒未来大吟醸で様子見。つづいて様々十四代でもいいのですが「お任せいただければさらに味わいの違うお酒を」とお奨めしてお造りには
八海山チタンボトル詰め替え純米大吟醸熟成 限定
煮物に村佑 亀口純米吟醸
焼き物で十四代双虹と龍月


全く味わいの違う新潟酒を十四代にはさむ形でお出ししたことを面白がってくださいました。さらに期待をしていた十四代を充分に堪能していただけたかと。



・・・と十四代ばかりをお出ししているわけではないのですが、その日はたまたま十四代ファンが重なったわけです。




十四代と言えば、以前にこんなお客様も。。。


一見のお客様
「八海山の純米吟醸はないの?」と
「あいにく純米大吟醸のチタンボトルと金剛心しか置いていません」と私。
大吟醸みたいな綺麗なお酒じゃだめなだぁ。。。似たものでも良いからなにか」


というわけで
私の舌が感じる旨みも残して淡麗な純米吟醸をいくつかお出ししたのですが、すべてで納得はしていただけませんでした。
最後に「これはきっとお口にはあわないかもしれませんが。。。」と十四代双虹をお出ししたのです。


お帰りの時に「今日は十四代がいちばんよかったかなぁ」とおっしゃいます。(ええ?綺麗な大吟しかも優しい甘さがいい???)


人の舌を推し量ることの難しさを実感する一瞬です。経験三十○年と大きなことを言っていますが、三十年は失敗の連続の三十年でもあるのです。



もちろん好きなお酒一種類だけというお客様に対応もしますよぉ。