カメラ


カメラは一生の友だと疑うことなく信じていました。


初めてのボーナスでNikon F2を購入して以来、20年くらいの間はちょっと出かけるにもカメラバックはいつでも用意して、28mm 50mm 135mm 300mmと一脚 F2二台が常に稼動できるようになっていました。特に子ども達が小さい頃にはそれらが大活躍であったのです。


ところが仕事に追われるようになって持つカメラもcontax T2をポケットに一台入れるだけになり、時にそれも忘れてしまうようになって、時代はデジタルカメラに移っていったのです。


コンパクト・デジカメも4-5台は入れ替わり立ち替わって使っていたのですが、気軽に持ち運べるのに、昔のようにいつでも持っているというのとは程遠い「趣味カメラ」とは口が裂けてもいえない状態が今まで続いていました。


私たち料理人が仕事以外のときも四六時中料理のことが頭にあるように、カメラが本当に好きな人にとっては日常のあらゆる場面がファインダーで覗いた姿で連想されるのです。そんな時代から遠のいてしまっていても仕事の一環であるwebサイトのためにも料理や食材を中心にカメラは常にそばになくては困ります。


コンパクト・デジカメでも今webサイトで使っているくらいの写真なら充分撮れてしまう良い時代ではあるのですが、二台の愛用機が両方とも壊れてしまってひさしぶっりに一眼復帰も予算によっては考えられなくはないと思いはじめました。



仕事の途中に今まで存在も気づかず通り過ぎていた大手チェーンのカメラ屋さんに立ち寄って、限られた予算の中でさてどんな選択肢が・・・と眺めていると、相談に乗ってくれた若い店員さんが現れました。昔だったら当たり前の豊富な商品情報、こちらの意を汲み取った上での適切な選択肢の提示、中古品も含めた新たな展開・・・などなど久しぶりに小売店で店員さんとのやりとりを楽しみました。ちょっとした街には必ずあるような量販店でこういう店員さんとのやり取りができるとは思ってもみませんでした。


今の時代、下手をすればnetで情報をたっぷり仕入れた素人のほうが店員さんの情報を上回ってしまうようなこともあるそうです。私達のような古い時代の人間は、大切な品物は値段もさることながら店に対する信用で買う、さらに言えば店員さんへの個人的信頼で買うことも多かった世代です。人間関係で買い物をすることがどれだけ購入の満足度を高めてくれていたか。


すでにnetで価格的に納得のいくシロモンのめぼしをつけていたのですが、たぶん、きっとあの店員さんから買うな、私。