みかんの温度


今年のみかんの出来はとてもよいそうで、糖度が高くて甘い美味しいみかんが食べられます。


亡くなった母の実家は三ケ日 奥平山のみかん農家で、これまでずっとみかんは買うものではなくていただくものでした。


世の中では三ケ日みかんというブランドで有名ですが、三ケ日の中でも奥平山地区という少々奥まった場所は美味しいみかんが出来ることで有名です。



ところで、みかんを食べるときの温度を気にしたことがありますか?


メロンやスイカを真夏の常温で食べる人はいないでしょうが、みかんは食べるときに温度を気にすることはありません。ところが適正な温度で食べるみかんは酸と甘みが際立ってより美味しく感じるのです。私はそのことを母が生まれ育った奥平山のみかん倉庫で初めて気づきました。


「なに、この美味しさ」と一緒にいたそのみかんを作っている従兄弟にいうと。


「そりゃそうさぁ。みかんってのはそういうもんさぁ」といまさら何を当たり前のことを・・・とでも言うように答えました。


倉庫といっても普通の倉庫で温度管理がなされているわけではなく、外界の寒さと同じ・・・か、風がない分体感温度がちょっとだけ高いくらい。もっとも採れたみかんを保存しておくわけですから、みかんにとってはいい温度でもあるはずです。しかしながら、同じ三ヶ日町でも三ケ日と奥平山では微妙に奥平山のほうが寒く、奥平山の倉庫で食べるみかんの温度のほうがより美味しいのです。そのあたりも奥平山が最上というゆえんかもしれません。このレベルになるとワインのテロワールと同じようなミクロクリマな差です。


今年の正月は全国的に寒さが厳しく感じられる日が続きました。


年始の挨拶に三ケ日まで出かけると、自宅付近では降っていなかった雪がちらちら舞い、奥平山までさらに入るとふぶくときもあるほどでした。浜松市内から三ケ日まで繰るまで40分ほど、三ケ日から奥平山までほんの10分ほど。それだけの違いで気候が違うことが明らかにわかる日でした。


毎年のようにたっぷりのみかんを頂戴し、自宅に戻ると、普段火を使わない部屋は寒さのせいで、毎年の奥平山のみかん倉庫の温度と同じくらいに冷え込んでいました。夕方になってみかんの皮をむいて口にほおばると・・・・「美味い!」 「みかんの適正温度だ!」


自宅で奥平山の美味しさが味わえる幸せな冬の寒さ。