円楽さんの死


三遊亭円楽さんが亡くなり、TVワイドショーネタとして取り上げられるのを何度も見ます。


同じ落語家さんの追悼の言葉は「笑点」仲間のものばかり、私的には圓窓さんとか、下世話ですが円丈さんの言葉を聞いてみたいと思っていたのです。今日休憩中のワイドショーでは楽屋で生前の円楽さんが「もうろれつが回らないんだよぉ」と悲痛に語るのに対して、「まだまだいけるよぉ」と慰める圓窓さんが映っていました。ただしそのテロップには圓窓さんの文字ではなくて「関係者」とだけ。圓生門下の二枚看板円楽、圓窓はもうTVでは通用しないのですね。笑点に出ていない落語家さんは注釈、解説付きでなければ通用しないようです。もしかすると担当ディレクターも圓窓さんを知らなくて「関係者」としたのかも。


さらに、新聞で見たTV欄には「正蔵が語る円楽」とあるではありませんか。円楽〜正蔵(現 9代目)の関係は知らない落語初心者の私ですが、三遊亭の柱であった圓生(円楽さんの師匠)は正蔵の父、故三平さんを頑なに落語として認めていなかったし、先代の正蔵(彦六)との犬猿の仲は有名なお話でした。インタビューを取るTVスタッフはそんなことは百も承知・・・ではなくて何にも知らないで能天気な番組コーナーを作るんでしょうねぇ。TVに出ている落語家であれば視聴率がとれるって。。。


いっそのこと、兄弟弟子なんだから・・・って、さらに何にも知らずに円丈さんのお話も聞いてくれればいいのに(落語協会分裂騒動を書いた円丈さんの「御乱心」は衝撃的でした)


志ん生さんのよさがいまだにちっともわからない私のような落語音痴の私でもその程度の世間的な認識はあるのに、TV的な世間というのはもっと狭いのでした。



円楽さんって十も噺を聞いていないくらいの縁遠い存在でしたが、聞くものはすべて大ネタ。印象は「師匠」よりは「先生」って呼ばれたい人。内輪では「勲章欲しい。。。」って言ってそうな感じの人。芸人風情の「風情」が大っきらいな人・・・であったような気がします。




そういえば「笑点」 あの番組の大喜利のレギュラーになれば、「たぶん一生食べるのには困らない」のだそうです。週一のTVレギュラーのギャラだけでなく、地方の落語会でも「笑点に出ている」だけで客を呼べるってことなんでしょうね。お化けな番組です。


落語ブームと言われる昨今、一般レベルではまだまだ「落語=笑点」から抜け出せない程度のブームなんでしょうね。