トーチ

clementia2009-07-15



トーチというのは片思いや失恋を歌った歌のことです。


アメリカではトーチ・ソングだけ専門にする歌い手もいるのだそうですが、トーチという言葉自体が日本ではなじみがありませんね。


このカーリー・サイモンのアルバム「トーチ」はまさに失恋を歌ったアルバム。ジェームス・テイラーとの間が破局した後に創られました。といっても1980年、30年も昔のお話です。カーリー・サイモンジェームス・テイラーも懐かしいと思える人さえ少数派でしょう。


CD棚の中から「あっ、そういえばカーリー・サイモンの唯一持っているアルバムだった」とおそらく20年ぶりくらいに手にしてみました。発売直後にレコード屋さんのjazz担当女史お奨めの一枚で購入したのでありました。とはいっても、私にはあまりピンと来なくて何回も聴かないで棚の上の方に仕舞われていたのです。


ところがいざ再び聴き始めるとこれが素晴らしい。なんであの当時この良さがわからなかったんでしょう。見ればプロデューサはマイク・マイニエリ(それさえ覚えていなかった)サイドメンはマイニエリの息がかかったフュージョン界のトップクラスがずらりと並んでいます。ウオーレン・バンハート、スティーブ・ガッドリー・リトナー、ブレッカー兄弟などなどなど。カーリー・サイモンの声の響きは彼女にしかない豊かさと哀愁があって、切なさだけでなく心に響くつややかさがあります。


30年ぶりに気づいた名盤。手に取ってよかった。