ロマネ・コンティって美味しいの?


ワイン好きでなくても知っているワインと言えばロマネ・コンティ。一本が最低でも数十万円、高価なことでも知られています。



ワインにあまり興味がない方にお知らせするためにちょっとしたロマネ・コンティミニ知識。


ブルゴーニュワインの特別美味しいクラスには一級、特級といった村の中でも特別に区画分けされた畑があります。ブルゴーニュを代表するヴォーヌ・ロマネ村では、日当たりのいい一番素敵な場所は葡萄畑のためにあって、あまった部分にひっそり人が住んでいるというほど葡萄畑に最高の条件をもった畑が集まっています。


その特別の中の特別な畑がロマネ・コンティです。


この畑を所有するロマネ・コンティ社はこのロマネ・コンティの畑のほかに、その周辺にラ・ターシュ、リッシュブルー、ロマネ・サンヴィヴァン、エシェゾー、グラン・エシェゾーという特級の赤ワインための畑と、ちょっと離れた所にモンラッシェというこれも白ワインの最高峰と言われる特級畑をもっています。


ですから、ロマネ・コンティ社にはロマネ・コンティだけでなく、ラ・ターシュ、リッシュブルー・・・などなどいくつかのこれもかなり高価なワインたちが存在するのです。



で、
ロマネ・コンティって本当に美味しいのか?


こんなにワインの蘊蓄話をしている私ですが、恥ずかしながらロマネ・コンティを飲んだことがあるのは三回だけ。そのうち一回は飲んだ内に入らないほど少量でしたし、味を認識できるほど周りの知識もありませんでしたから、実質は二回しかありません。それでもその二回の印象は強烈に覚えています。あまりにも美味しくて覚えているのか?というと、「憧れのロマネ・コンティを飲める・・・」という緊張があまりにも大きくてそのシチュエーションを覚えているという意味で、普段の自分には高価な1-2万円のワインの数十倍美味しいかというとそういうものではありません。コストがそのまま数値的に味に表れるというわけではないのですね。


むしろ、あまりにも美しい女性が特徴を言い表せないほどバランスがとれているのと同じように、あまりにも均整のとれた味わいでどういう風に美味しいのか言葉で表せないのです。何も知らされず飲まされたら「するする水のようにスムースに飲めるのに美味しいワイン」くらいに思うに違いありません。つまり渋みが突出しているとか、甘味が抜きんでているとか、何かの香りが強烈に香るとかではなくて、味わいもイヤミでなく濃く、香りも複雑に絡み合っているのに「におい立つ」というわけではなく、よくいう言い方ですが、「限りなく球形に近くバランスがとれている」というのが正直な印象です。


こういうワインはその周辺にある様々な一級特級クラスの味わいを知ってからでないと、味わいの価値が舌に感じられないのではないかと思うのですね。ワインをあまり飲んだことがない方がいきなり「金にまかせてロマネ・コンティ」では「なぁぁんだこんなもん?」と感じるはずです。こういう部分もワインを勉強と考えがちになる要因になってしまうのかもしれませんね。


なにしろ同じロマネ・コンティ社のロマネ・コンティとラ・ターシュを比べた時、旧オーナーであったマダム・ビーズでさえかなり年配になってから「やっと最近になってロマネ・コンティとラ・ターシュのキャラクターが理解できるようになったわ」とさえ言っているのです。


私も同じ予算をもらって、「さあ、ロマネ・コンティ一本とラ・ターシュの違うヴィンテージ五本 どっちがいい?」と言われたら迷うことなく「ラ・ターシュ五本!」と叫びます。値段の差は数倍でも味わいの差はこのクラスでは微妙なのです。ロマネ・コンティって私にとってはそんなワイン。二回しか飲んだことないんですけどね。