家康も食べた?
同じ県内の清水で作られる「折戸茄子」(おりどなす)です。
賀茂茄子よりもふたまわりほど小ぶりですが、身質はつまってしっかりした茄子です。その昔、清水近郊で栽培されていたのですが、一時廃れ、再び復活したのだそうです。
近頃の意欲的な農家さんの努力は素晴らしいですね。
私が修行を始めたころには大阪でさえ正統種の賀茂茄子が入ることはほとんどありませんでした。地元に帰ってからでも夏に使えるのは米茄子だけ、しばらくして奈良近郊の丸茄子が入荷するようになってそれだけでも賀茂茄子に近づいたと小躍りして使いました。その当時、京野菜がどうしても使いたくて、錦小路の八百屋さんとつながりをつけて送っていただいたりもしたのですが、送料が高くて毎日送っていただくにはコストがかかりすぎ、手間も半端ではなくてすぐにあきらめてしまいました。四半世紀まえのお話です。
そんな風に各地の優れた食材を手に入れたくてもできなかった時代に悔しい思いをたっぷりしていると、流通革命によって様々な作り手の顔が見える優れた食材が全国から送られてくるいい時代に「地産地消」に「こだわる」なんて考えられないのですね。(あっ、ここから80kmほど離れた清水の食材を使うことは地産地消?なんでしょうか? まっ、どうでもいいけど)