しずおか吟醸物語


連休の6日午前中にロカール局SBSで放送された「しずおか吟醸物語」をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。


地方局でもこれだけ良質なドキュメンタリー番組ができるのです。これはもう鈴木真弓さんの執念が作り上げたといっても過言ではない作品です。


この日記でも何度か紹介した鈴木真弓さんはコピーライターで、長い間静岡酒を追いかけてきた「しずおか地酒研究会」の主催者でもあります。


日本酒好きにとっては静岡酒に注目することはお決まりともいえるのですが、「温暖な地に静岡に日本酒?あるわけない」という誤解はまだまだ根強い、というよりも当の静岡県人自身が知らないケースもまだまだあります。鈴木さんは地道に県内の酒蔵と酒屋、料理店を取材し続け、機会を見つけては吟醸王国しずおかを世に広める努力をしておいででした。


そしてそれだけでは飽き足らず、吟醸王国しずおかの今を映像に残しておかなければならない・・・というほとんど使命感にも似た思いに突き動かされ、それが放送されるかどうか上映されるかどうかはおいておいて、盟友成岡正之カメラマンとともにじっくりと年間を通して静岡酒の蔵を回って酒造りの映像を撮り続けていらっしゃったのです。


これまで撮りためインタビューを続けてきたものが今回一時間の番組に編集されて放映されました。


過剰な演出もなく、誇張する業績や技術もなく、映像から見えるのは各蔵のひたむきな日本酒への愛情と積み重ねる研鑽だけです。


鈴木さんの情熱と蔵の地道な努力が一つになって出来上がった番組は一見淡々としているように見えて、内なる熱い思いがあふれていました。


とかくメディアに厳しい言葉ばかりを投げかけてばかりいる私も、この番組のまっとうにジャーナリスティックな心に感動しました。


実は鈴木さんの「吟醸王国しずおか」はこの放送が頂点ではありません。これから放送版よりもさらに充実した内容が現れるはず。期待に胸が膨らみます。