ストロー・ミュージック


この地でレクチャー・コンサートを開かれたストロー・ミュージックの匠 神谷徹さんのパフォーマンスを聴きに行ってきました。


TVなどで何度かそのユニークな楽器と神谷さんの音に触れたことがあったのですが、たっぷり二時間近いパフォーマンスを観て、未知の世界のばかばかしくも緻密で深遠なことに驚きました。口をあんぐり開けたまま見入っている自分に気がつくことが何度もあります。これはTVで断片を見ただけではその1/3もわかりませんでした。神谷さんの音楽の歴史とその取り組みをそっくり感じなければ知ったことにはならないことを痛感しました。


なにしろ、ストロー笛というのは、オーケストラで使うような木や管の素材を追及しつくすというのと違って、手に入れようと思えば誰もが入手できるストローを使い、誰もが音を出すくらいは繰り返せばできるような動作で、一見どうでもいいようなことを「あっ、これ面白いじゃん!」とつきつめては、熟成させ、立ち止まっては発展させる作業を飽くことなくずーーーと繰り返してきたことで出来上がった、誰も到達していえない世界が出来上がっているのです。


ばかばかしいのに凄い、緻密で計算されているのにそうは見えない、誰かが考えそうなのにこんなに時間をかけて面白がってつきつめていはいない、肩の力が抜け続けているのに追及しだすととどまるところをしらない、唯一無二の存在です。こんな音楽は見たことがありません。


また神谷さんの語り口が素晴らしい。これ、どこかで聴いたことが・・・と考えてみると、「あっ、枝雀さんだ!」そう、桂枝雀さんの語り口に近いように思えます。しゃべりが軽妙ゆえに凄いことが身近に感じる、そういう意味でも唯一無二です。本当にすごいものを見せてもらいました。