学生達へのスピーチ(昨日の続き)


実は昨日お話した卒業式のあった高校は、亡くなった父の母校でもありました。


父の世代は卒業が昭和18年。太平洋戦争真っ只中です。


その当時の校長は、父によれば軍国主義予備隊製造者のような時代の寵児であったそうで、校長の教育のもと多くの級友たちが戦争へと駆り立てられて行ったのだそうです。


父にしてみると友人達の多くが校長に煽られて死んでいったという思いが強くあったのです。


戦後の同窓会の席で、この校長の業績を賛辞する言葉が壇上で発せられたとき、父達の同級生は壇上へ駆け上がり、「級友たちを戦地に送ることを誇っていたような校長を美化することは俺たちが絶対許さん!」と怒り心頭に達したと、一度だけ話してくれたことがあります。自慢げにというよりも、辛そうに語ったように思い出せます。


「時代がそんな時代だったのだ」といってしまえばそれまでですが、教育者が教え子達に「国のために死ね」と教えた悲しい時代のことを思えば、スピーチが心に残らないくらいのほうが平和でいいのかもしれません。演説で若者達が扇動されることよりもずっとましですからね。