水商売


同業の友人があるサイトで秀逸な考察を披露していました。


同じ水商売といわれる業種にいながら、私自身は生来・・・というか、親子三代、書かれているような水商売の危険とは無縁に生きてきたせいか、長く商売を続けることができました。


以下はその抜粋。

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とかく悪く言われてしまう水商売。
これが悪く言われるのには、いくつかの訳がある。


ひとつは日銭商売だという事である。
一日営業すると幾ばくかの金銭が手に入る。これを「宵越しの金は持たない」とばかり、仕事がはねた後に飲みに出掛けたり博打に励んだり女に貢いだりしてしまう親方/店長/社長では、すぐに身上つぶしてしまう。


次は売り物に手を出すという事である。
この売り物に当たるのは【酒】と【女】である。

【酒】は売れば儲かるが、自分で飲んでしまえば売る物がなくなるのである。それに【酒】を飲んだ人間というのは情緒の変動が激しくなり、自己中心的になり、細かい事はどうでも良くなってしまうので、結局どんぶり勘定になってしまう。下手すれば景気よくなって奢ってしまう事も往々にしてある。売っているので酔っ払いの習性はよくわかるはず。自分がそれになってしまっては商売としてはもともこもない。つまり、酒飲みは飲み屋をやってはいけない。(ちなみに私は売っているがほとんど飲まない。)

【女】は、ホステスをさすので、酒と同じ商品である。鮮度(若さ)と色気が大事で、如何に安酒場であっても口説いたらチャンスがあるかのように装うか、もしくは本当にチャンスを与えてしまうだらしなさ、または一時の恋人気分を与える擬似恋愛をさせてくれる楽しさがなければ意味がない。これに手を出すと、女が若かろうが年だろうが非常に面倒な事になる。



そもそも水商売というのは、流れ作業の工場やパソコンの前に座っている事務仕事や開発などに比べて大変刺激の多い職業である。 目の前を通り過ぎるのは、いつも同じのビスを締める部品ではなく、毎回違う人間である。会話の内容も、毎日違う。

また、他の職業では知り合ったり軽口たたいて笑いあったりできる事は一生ないであろう御仁と面識が出来て、楽しい話を伺うことも出来る。芸能人や有名人にも会えるチャンスがあるのである。このように目の前を通り過ぎていくたくさんの刺激が、水商売の魅力であり危険要素である。



普通の家庭では、やはり娘がホステスをするのは反対だろうし、開業だなんてあり得ないだろう。


お金にだらしなくなる
女(男)にだらしなくなる


こう言われるのは昔からで、それは今でも変わらない。

これらの事にだらしない人は昼間の職種でも存在するのに、水商売だとこれが「当たり前」のように、職業的に差別される。

もちろん、お金と女(男)にだらしのない経営者というのは残念ながらたくさんいる。酒を扱う水商売に於いて、従業員への給料不払いやパワハラは昼間の仕事では考えられない程横行している。酒代や家賃の滞納も、いかがなものかというくらい耳に入ってくる。



酒を扱う飲食店(水商売)で、経営者が深酒をする店舗はあっという間に消えていく。長く営業している店の経営者は【酒をたしなむ程度〜飲むのは休みだけ、仕事中は飲まない】のである。


だから風俗店(お客さんの横に付いて接客する店・クラブ・ラウンジ・スナック・ホストはこれに当たる)はすぐ消えて行くのである。


酒は飲んでも飲まれるな。
売ってる人が言うんだから、間違いない。


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よくお客様にいわれます。実際昨日のお客様にも


「これだけお酒に詳しいってのはよっぽど飲んでるんだろうねぇ。毎日飲むの?」


「いえいえ、お出しするすべてのお酒の味は理解しているつもりですが、こんな素晴らしいお酒におぼれていたら簡単に身上(しんしょう)つぶします。お酒は飲むよりも飲んでいただいてお客様に楽しんでいただくほうがずっと面白いんですよぉ。自分で選んだお酒で評価していただくんですからその醍醐味といったらありません。料理はさらに食材を集めてつくるところからですからなおさらです」


こんな風に思えるようになれば酒で身を持ち崩すことはないかも。