男ってヤツぁ


デカプリオ〜ウィンスレット「レボルーショナリー・ロード」か? 「ウォーリー」か? 「エレジー」か? 「チェ 28歳の革命」か? と迷いつつも、結局時間の都合であっさり一番人気の薄い「エレジー」を観てきました。


薄っぺらに鑑賞すれば、渡部淳一好みな初老男性の夢を描いたような映画と見えるのでしょうが、中身はもっと男女の特に男性の心の機微を丹念に探り、ベン・キングスレーがそれを見事に演じた映画でありました。



社会的な地位も名誉も充分に得ている大学教授が、親子以上に歳の離れた自らの生徒に恋をする・・・というよりも、最初は彼女にセクシャルな欲求を抑えきれなくなるところから物語りは始まります。キューバ系の上流階級に育った教え子は物腰が優雅で美しさにあふれています。一度だけ・・・と思っていた二人の関係が恋に変り、大学教授は10代20代の若い男性と同じように嫉妬し、地位や名誉の世間の評価との間で葛藤します。


有名な文学作品というのはすべらかく「男と女のホレタハレタ」で、この作品からも世界の古今、いつでもどこでも男女の仲は年齢に関わらず同じように揺れ動き、同じように悦び、同じように傷つくのだということがわかります。どこの国だって、地位も名誉もある老人が若い女性に恋すれば、肉体は衰えていても心模様は若者と変らないのですね。


などということはそれなりには承知しているわけですが、この映画、夫婦で観るにはまことに居心地が悪い映画なんであります。女性から見れば「全く男ってヤツはいつまでたっても」と思われるでしょうし、「結局男は若い娘がいいのよね」と思われるでしょし、「結局すべて男は浮気するもんだ」と思われるような側面をもった映画なのです。つまり全編通して妙齢の女性にはいいところなしで、老人の男性の心には美しくスポットが当っているのです。


私のような堅物を横に据えた連れ合いでさえこの映画をみて「男って美しいわぁ」とか「ウチではありえないわ」とは決して思わないはず。


「エレジー」 40代以上の男性がひとりで観にいけばかなり楽しい映画です。ペネロペが美しいし。


パートナーのことを200%信用し、○十年いっしょにいてもほかの女性(映画やTV上の美しい女性にも)に見向きもしないカップルが観た時の感想を聞いてみたいです(是非コメント欄に)