トング

clementia2009-01-24



調理材料の店を物色していたときのことです。


カラフルな様々な色のトングが目に入りました。カラフルな・・・といっても先のものをつかむ部分だけなのですが、いかにもお洒落な主婦が好みそうな仕様、職人には縁はない・・・と思いつつも手にとって見たのです。


このカラフルな先の部分がなかなかいい感じに使いやすそうではありませんか。早速一番地味な黒を選んで使い始めるとこれがもう素晴らしく使いやすいのです。


もともとトングというヤツを眼にするようになったのは10数年前のイタリアンブームの頃からです。パスタを皿に盛るのにもシャモジにブラシのような突起がついたやつ(名前を知りません)をうどんと同じように使っていた世代ですから、TVでシェフがトングでパスタをつかむのを見て、「西洋人は不器用だからあんなものを使うに違いない。箸の文化を持つ我々には必要なし」などと思っていたのです。そのうち自宅キッチンにはトングが当たり前に置かれるようになり、店の調理場でもどこかでもらってきたトングが時たま使われるようになりました。


ところが今回手にしたトングの使いやすさは同じような形をしていても別物です。ばねの具合がいいことと、なによりモノをつかむ先の素材が優れているのか、小さなものでも大きなものでもつかみやすいのです。大振りに切った大根を出汁の中から取り出すには今まではしゃもじを左に真菜箸を右に持ってすくっていたのに、このトングならひとつかみです。出汁の中の昆布をつかみ出すにも竹の箸では滑りやすいのですが、このトングなら間違いがありません。


使い始めると丸一日ほとんど箸を使わないでこのトングばかりを使っていることがあって驚きます。トングが活躍する和食の調理場・・・まっ、いいかぁ。


・・・というか、私の箸使いが板前のくせに下手くそなだけなのかもしれませんが。