斎藤美奈子さんの啓示


その言葉に耳を傾けたくなる数少ない書評家斎藤美奈子さんの「文芸誤報」の冒頭「文学作品を10倍楽しく読む法」に激しくうなずきました。


なかでも特に。。。
曰く
☆小説に教訓を求めるな。
  小説は道徳の教科書でも人生読本でもありません。学校教育の悪しき影響から脱しましょう。
☆小説のテーマを考えるな。
  この文章の主題を50字で述べなさい。しかし、50字でいえる程度のないようならば厚い本を読む必要はありません。これも国語教育の悪しき影響です。
☆お話だけがすべてと思うな。
  特に純文学の場合、ストーリーにばかり気をとられていると「何がおもしろいのかわからない」「何が言いたいのかわからない」というお話になってしまいます。面白さは自分で見つける「攻めの読書」を目指しましょう。
☆WHATよりもHOWに注目せよ。
  小説にとって重要なのは「何が書かれているか」より「どう書かれているか」です。題材や筋書きは平凡でも、調理の仕方が非凡な傑作はいくらでもあります。
☆美は「ゆがみ」にこそありと思え
  文学ファンの中には、美しい日本語こそが文学の要諦であると思っている方ももおられます。しかし、小説は伝統芸能ではありません。固定化された美意識は捨てましょう。
☆困ったときは遠くを見よ。  
  作品によっては、それ一冊を睨んでいてもラチがあかない場合があります。そういうときには目を遠くに転じましょう。歴史に思いをいたす、社会の仕組みを考える、それだけでも作品世界がパッと開けることがあります。小説を読みには少し頭がいるのです。


納得。