鱗(うろこ)と羽根

clementia2008-11-13



ジビエの季節です。


先日の蝦夷鹿に続いて、昨日は天然の真鴨が入ってきました。蝦夷鹿はさすがに部位に分けられたものをもらうのですが、真鴨は羽根つきのそのままです。この羽根をむしる作業がどうも苦手です。


鳥の羽根なんていわば魚の鱗のようなものと思えば簡単なことなのですが、魚は活き〆にして鱗を引き三枚におろすことは、どんなに血が出ようが魚が暴れようが平然とこなしているのに、足がついているというだけで一気にテンションは下がります。鳥は大きな袋の中に入れて軍手をはめ、なるべく見ないようにしてむしっていきます。これが魚同様生きている鳥を絞めなければいけないとなったらもうパスするかもしれません。先日も映像で猪を狩るアフリカの狩猟民族の様子を見ましたがやっぱり顔をそむけてしまいます。情けないったらありゃしません。


少し前、ドイツ映画「厨房で逢いましょう」を見ていると、主人公のシェフが子豚サイズの(たぶんジビエ)皮を剥いだ肉の塊を庭に立ててホースの水で洗い流している映像がありました。西欧人シェフにとっては、あれにくらべたら鴨の羽根くらい子供の作業なんでしょうね。


市場で姿のままの魚が並んでいるのは日本人にとっては「美味しそうぉ」の対象でも、羽根つき毛皮つきのジビエを姿のままつるしてあるのは「美味しそうぉ」よりも「かわいそうぉ」につながってしまうのしょう。これからもっとジビエが食べられるようになれば意識が変わってくるかもしれませんね。


「魚がこっち見てるぅ」と姿の魚を食べられない若い女性が笑えない私です。


(写真を撮るのを忘れてしまったので、昨年の鴨の映像です)