刺激の欲し方
若い頃には一ヶ月に一回は東京へ出かけないと時代に乗り遅れるような恐怖感がありました。netなど存在しない頃のことです。
同じように若い頃には旅をすることで大きな精神的な刺激を受けてもいました。旅をしなくなると人間まで生ぬるくなるような気がしていたのです。
ところが、近頃はそういう手法で刺激を受けることを欲しなくなってきました。netから豊富な情報を得ているからだけではなくて、日々接しているお客様から得ている刺激が精神を浄化してくれているのです。ありがたいことに店には様々な職業、様々な経歴をお持ちの方々がお越しになり、お伺いするお話の面白さはTV番組なんぞ問題にならないほどです。さらには政治 経済 医療の分野のトップを駆け抜けている方々が交わしている話題は、お座敷の片隅で耳を傾けるだけで新聞の三面記事顔負けの躍動感があります。
先日遠くからお越しいただいたお客様のお話は、陸上話からシャンゼリゼ凱旋で観たツール・ド・フランス、熊野古道から四国お遍路、数々の小説、ノンフィクション、空海etc.etc.尽きることがありません。
店で聞いた話ではありませんが、mailで伺ったのはブルゴーニュ話 1990年にジャイエのワインを試飲したことがないとアンリさんを訪れたのはドゥ・ヴィレーヌ氏、パカレ氏、ビーズ夫人、ロック氏であった・・・と。名前を書き連ねただけでクラクラしそうなスパースター達。そのお話をパカレ氏から直接聞いたのだとか。(ブルゴーニュファンであればフルネイムでなくてもわかりますよね)
旅に出かけなくても、お話だけでも心臓がドキドキするほど刺激的な話題が自分の店で聞けるのは料理屋の醍醐味。