松輪の鯖


三浦半島の南端 松輪であがる魚はどれも素晴らしいのですが、この時期の鯖は特に有名です。漁場がいいこともさることながら、漁師さんの魚に対する意識の高さが魚扱いの違いに現れます。


仕入れ担当さんの努力で毎日ほんの数本の極上がこの地に送られてきます。この時期毎日飽きずに使い続けていると、少しづつ松輪の鯖の本領が舌で理解できるようになります。やっぱり何事も経験を積み重ねることが大切なのですね。


塩〆の時間、酢に漬ける時間、寝かせる時間。このクラスの鯖はしっかり〆て時間をかけて寝かせたほうが美味しくなります。当日、二日目、三日目の美味しさんはそれぞれに違ます。五日目くらいがベストであるという職人さんもいらっしゃるほど極上の鯖の懐は深いのです。


幼い頃学校給食のおかげで光る魚が苦手だった私のエポックメイキングになったのも鯖、「な、なんだぁ、これ!」と〆鯖の美味しさに目覚めた時にはすでに二十歳を超えていました。松輪の鯖はさらなるステージへのエポックメイキングな魚かもしれません。