「宮廷画家ゴヤは見た」


監督を確認しないで映画を選ぶことはほぼありません。


監督がよければプロデューサー、脚本家もチェックを怠ってはいけません。その三者のコラボレーションが名作を残していれば新作が秀作以上である確率はとても高いのです。


「宮廷画家ゴヤは見た」はまったく未チェックでした。店から徒歩三分の行きつけのシネコン観たい映画がなくて、「いい映画やってないかなぁ・・・」と調べていたときにちょっと離れた別のシネコンで存在を知りました。


監督は?・・・・ミロス・フォアマンじゃぁありませんか!
主演は?・・・・ハビエル・バルデム ナタリー・ポートマン!!
脚本は?・・・・ジャン=クロード・カリエル!!
プロデュースは?・・・・ドウル・ゼインツ!


ミロス・フォアマンは「カッコーの巣の上で」と「アマデウス」で二回のオスカー。ゾウル・ゼインツは「カッコーの巣の上で」「アマデウス」でフォアマンと組み、ほかにも「イングリッシュ・ペイシェント」「ロード・オブ・ザ・リング」も手がけている大立者。ジャン=クロード・カリエルは「存在の耐えられない軽さ」や「シラノ・ド・ベルジュラック」で知られるヨーロッパの巨匠脚本家。そうそう、名作「ブリキの太鼓」も彼、「存在・・・」ではゼインツとも組んでいたかも。主演のハビエル・バルデムはご存知「ノー・カントリー」の怪演でオスカーを取ったばかりだし、ポートマンは「コールド・マウンテン」あたりから一皮剥けて正真正銘の女優街道まっしぐらです。



もう万難を排して見に行くことは決定です。なんでこんなに凄いメンツの映画が注目されていないのか?映画ランキングに引っかかりもしていません。メディアでも紹介されていたのを見たことがありません。日本でのプロモーション活動に熱心でないのですね。


映画は・・・・当然のように圧倒的です。素晴らしい。観客全員がエンドロールがすべて終わるまで席を立たないほどの余韻があります(多くはない観客でしたが)


「歴史の奔流にすごさ流されていて人間が描けていない」などという全く見当はずれな映画評を某有名新聞サイトで見ましたが、批評者の見識を疑いたくなる凡評です。映画の素晴らしさに比べたら虫けらみたいな言葉です。


観客は一番混むはずの日曜日の午後(一日一回のみの上映です)にたった20人ほど。シネコンの集客範囲を考えると100万人の人口でこの映画を観るのはたぶん100人を超えるかどうか?くらいでしょう。


ああ、もったいない。あまりにももったいない。今映画興行ランキング10位に入っているような映画を観るつもりなら10倍「宮廷画家ゴヤは見た」をお奨めします。