大人は大変じゃぁない・・・かもしれない


幼い頃、大人になるというのは大変なことだと思っていました。


大人になればお金の使い方や貯め方も覚えなければいけない。大人になればバスや電車の乗り方もスムースに出来なければいけない。大人になれば世間全般の常識を身につけていなければいけない。大人になれば学校の勉強も一通り身についていないと世間に通用しない。大人になれば仕事をしていく上で様々な困難に立ち向かわなければいけない。


なんでも杓子定規に考えすぎる性癖は子供の頃から身についてしまっていたのですね。


ところが高校生の頃、店で長く働いていた年配の女性を見て「ああ、大人ってなんでも自分で出来なくても大丈夫らしいぞぉ」と初めて思ったのでした。


彼女は店の洗い場とかご飯炊きなどを住み込みで30年もやってくれていた人でした。確定申告の難しい書類とか、保険の手続き、役所の煩雑な書類書きを指して「こういうのはね、窓口で”こんな難しいもんできやしない。任せるからやって”って言えばほとんどのことはやってくれるもんよぉ」と笑って言いいました。


そうかぁ、いろんなこと出来なくたって大人はやっていけるんだぁ。



戦争未亡人として一人娘の手に職をつけさせて一本立ちさせ、住み込みで働きながらサイドビジネスとして借家を立てて別収入を得て、娘に家を持たせ、70歳近くなるまで働きに働いて、引退後は悠々自適。


不動産取得とかの煩雑な事務手続きができなくても、電車にひとりで乗れなくても、まじめに生きている人には世間はちゃんと優しいのかもしれませんね。