ご相伴ワイン

clementia2008-08-25



日本ワイン界の重鎮 山本博先生のお話
『およそこの世の酒好きは二種類に分けられるそうである。 「値段が高い酒は良い物だ」と思う人と、「良い酒はどうしても 高くなる」と思う人だそうである。後者に属する人々に、シャンパンの中でこれぞ極めつきの一本を選んでもらうとすれば、それは多分クリュッグになるだろう。クリュッグの難点は量が少ない点で、何しろ年間五十万本しか造っていない。いや造らないのだ。』


店のワインリストにも一般的なグランキュベのほかに1989年1985年のヴィンテージ・クリュッグを載せています。シャンパン好きにはクリュッグははずせない逸品なのです。ありがたいことにお客様が持ち込まれてご相伴させていただいた中にも最高峰クロ・デ・メニルほか様々なヴィンテージも味あわせていただいてきたのですが、先週末お得意様が持ってこられたヴィンテージ1990年が別格に美味しかったのです。ありえないほど美味しい。クリュッグのすべてのよさを凝縮させたような素晴らしさとでもいったらいいのでしょうか。独特の熟成感は極まったところでパワーをもち、オレンジを煮詰めたようなエレガントでさわやか香り、深い深い味わいとコク。一口飲んだ後言葉が出ません。口の中に広がりのどを通っていき後に残る余韻を感じている間ひたすら幸福感に包まれます。


こういう出会いがあるからワインはやめられないのです。幸せ。