名演その29〜パバロッティのカルーソ


バルセロナオリンピックでのパフォーマンスや三大テノールの活躍で、クラシックファンでなくてもご存知の方が多いパバロッティ。久しぶりのクラシックの登場です。


といっても、パバロッティ〜カルーソでも演奏自体はポップな歌い方をしているパバロッティのご紹介です。


最初に聴いたときの衝撃は今でもはっきり覚えています。今から17-8年前のこと、大好きだった名古屋の「ほかけ」でお寿司を堪能した後、高速道を走っている最中に聞いたラジオは黒田恭一さんがナビゲーターをなさっていた番組が流れていました。黒田さんの「お奨め」にはずれはほとんどありませんが、このときにかかったパバロッティが歌う「カルーソ」(イタリアのポップスの作曲家ダルラ作曲)は極めつけでした。


パバロッティのアリアはそこここで耳にして世紀を代表するテナーだと知ってはいたのですが、ポップ(といってはちょっと語弊がありますが)な歌い方でもここまで人を魅了するものか。驚きでした。つややかな歌声、伸びのある声の張りはクラシックの発声とは違うのに歌い上げるタイプのほかのポップスの歌手が10人集まっても太刀打ちできないほどの迫力と表現力です。


車を路肩に止めて聞惚れていたい衝動を押さえつつ、連れ合いと二人で「すごいねぇ」「素晴らしいねぇ」を連発していました。帰宅して即レコード屋さんに走り、「カルーソ」一曲のために二枚組みCDを注文(当時このアルバムにしか収録されていませんでした)それ以降いつも傍らに置いて聴くアルバムです。(前年ながら現在廃盤。今はこのアルバムで聴けるようです)


クラシックの歌手が歌うポップスには素晴らしいアルバムがたくさんあります。例えば「アンネ・ソフィー・フォン・オッターとエルビス・コステロ」のアルバム。「ルネ・フレミングとフレッド・ハーシュ ビル・フリッセル」のアルバム。。。でもパバロッティはたった一曲で私を打ちのめしました。


一曲のためにアルバムを買う酔狂なファンの方にお奨め(いえ、ホントに超お奨め)