名演その28〜ハービー・ハンコック

clementia2008-07-05



このシリーズで前回二回続いて紹介したチック・コリアとともに1960年代から現在まで40年間にわたってジャズ界を引っ張ってきたピアニスト ハービー・ハンコックの登場です。


名演と言えるものをあげたらキリがないほどたくさんの名盤を残しています。チック・コリアキース・ジャレットとハンコックが同時代に活躍してくれたことでどれほど私のジャズライフが充実したか計り知れません。


今回ハンコックを取り上げることで、たくさんの名盤の中であえて「これ!」と紹介させていただこうと思うのは、1968年録音の「スピーク・ライク・ア・チャイルド」  極めつけです。初期のハンコックを語る上で絶対にはずせない一枚です。


ロン・カーター ミッキー・ローカー サド・ジョーンズ ジェリー・ダジオン ピーター・フィリップスという当時の超一流ミュージシャンを配しながら彼らは全員バックミュージシャンでバッキングに徹し、全曲を通してハンコックがひたすらピアノを弾きまくります。クールでリリック、官能的でスリリング、ドライブ感たっぷりでスピーディな演奏スタイルで貫かれたこのアルバムは、一曲一曲がもちろん独立しているのですが、一度聞き始めたら最後まで通して聴かなくてはいられないほど一貫性があります。一言で言えば「カッコイイ!」


マイルス・デイビス・グループ在籍の最終期に録音されたこのアルバムには、マイルスに鍛えられたハンコックの音楽性が凝縮していると言えるでしょう。このアルバムを聴いたとき、ビル・エバンス、ピーターソンの時代から新たな世紀が到来したという確信を得ました。そういうエポック・メイキングな一枚です。これまで紹介してきたアルバム同様、40年を経ても手垢がついた感じは微塵もありません。ピアノに興味のある方全員に超お奨め。