力のある評論


昨日「貧弱な評論、批判は自らの品性の知性のなさを公にするようなものだ」というようなお話を書いたばかりであったのですが、昨日読み終えた伊集院静「乳房」(恥ずかしながら初めて読む伊集院小説です)の解説に打ちのめされました。もちろん「乳房」自体短編集として名作の誉れ高い作品であると感じたのですが、久世光彦の巻末解説がそれだけで文学として成り立つほど素晴らしいのです。評論というのはこうあるべきです。作品をただ褒めるのではなく、筆者の深層を奥深い筆致で描きだしています。こんなのを読んでしまったら、いいのわるいの、○○と比較してどうしたこうした・・・などという低俗な言葉なんぞ消し飛んでしまいます。