蕨(わらび)と灰

clementia2008-06-04



誰が考え出したんでしょう、「蕨(わらび)のあく抜きに灰」


筍に米糠も同様ですが、春の苦味とかえぐみを取り去るために糠や灰を使うことを思いついた人はすごいモンですよね。


蕨は最初に少量の灰をまぶして熱湯をたっぷりかけてラップをして半日、よくさらしてから味をつけます。灰がたくさん入りすぎるとトロトロに解けてしまうのです。


日本中で灰がいつでも家にある家庭がどれほどあるでしょう?昔でしたら老舗の跡継ぎは「カマドの灰までお前のもんだ」と、いわば取るに足らないものの代名詞であったはずの灰は、火を焚かない今では貴重品です。まっ、蕨を最初から自分で焚くオウチも少ないでしょうから、灰に有り難味もないわけではあるのですが。今では市場に流通する蕨には小さな袋に入った灰もいっしょになって売られています。かゆい所に手が届くというよりは、それでなければ料理人でさえ仕事ができないということです。


福島の渡邉さんがねまがりたけの採取の途中でとってくれた蕨は、消し炭壷の溜まった灰であくを抜き、絞った豆腐と油揚げで巻いて篠田巻きします。これで椀盛りに季節感を出せます。