会議よりメシ


某企業の重役であるAさんは大の美味いモノ好きです。世界中に支社があって一年中各国を飛び回っていらっしゃるのですが、支社長の第一の務めは現地の美味しい店を探し当てること。Aさんからの「○月○日出張」の連絡があると馴染みになっておいた店に即電話を入れます。「食材もお酒もいいものを」と。


そういう料理店慣れしていらっしゃる方ですので、お越しになっても下っ端が重役を前にかしこまる雰囲気はありません。仕事の打ち合わせや今後の展開、支社の現状などの仕事のお話も軽やかにこなし、酒が進めばくだけたお話もたくさん飛び出します。さらに接待で使われる際にも難しいお話を和やかに進められ、料理屋への気遣いも行き届いた達人です。


Aさんがおっしゃいます。「10回の無駄な会議よりも一回の美味いメシと酒のほうがはるかに会社には役に立ちますよぉ。一杯の酒であっという間に打ち解けることが出来ますし、数千万の取引のきっかけだってできます。美味しいものを食べてニコニコしない人はいませんからね。要は使い方次第でしょ」すべての上司がそんなに上手に料理屋を使えるわけではありませんが、Aさんの場合は料理屋にとってもいい緊張をいただきながらお仕事のお手伝いをさせていただいているような気分になります。




会議とメシといえば、最近では全く需要がなくなったお役所へのお弁当の仕出し。ずっと以前はボランティアで役所に会議で集まる方々に、会議の前に昼食用のお弁当を出すことが一般的でした。お疲れ様の意味もあるのでしょうね。私自身も地元の○○協議会とか○○連絡会などといった役所の会議に出るときには、自分で作ったお弁当をよく食べたものです。お弁当でさえ、いっしょにご飯を食べることで場の雰囲気は和やかになり会議の潤滑油になります。今では市民団体の監視の下「税金の無駄遣い」として一切この手のお弁当を使っていただくことはなくなりました。杓子定規な考え方ように思うのですが。。。。まっ、料理屋の目で見たお話ですからねぇ。