メディアの歪曲


二三日前、朝のお茶を飲みながら何気なく眺めていたワイドショーでのインタービューのお話。


二十〜三十代(渋谷)と六十〜七十代(巣鴨)のカップルに聞く「今思い浮かぶ海外女性歌手」の比較というお題目でした。


二十〜三十代(渋谷)のあげるマライヤ・キャリー ブリトニー・ピアーズ マドンナ ビヨンセというのは全くうなずける選択であったのですが、六十〜七十代(巣鴨)のあげる桂銀淑(ケ・ウンスク)欧陽菲菲 アグネス・チャン テレサ・テンあたりは「ホントかぁ?」と思ってしまうのです。(唯一ドリス・デイがありましが)(だってこのラインアップを比べる方がどうかしてる)これを聞いた六十〜七十代の方々いやじゃないですか?「俺たちの音楽はそんなもんじゃない!」って。


若者=ポップ 老人=流行歌、演歌  これってマス・メディア的な決め付けのような気がします。


六十代は充分ビートルズ世代ですし。七十代だってプレスリーがいました。それよりちょっと前には熱狂的なジャズ・ムーブメントもあったのです。コニー・フランシスとかアニタ・オデイジョーン・バエズなんて絶対いそうな気がするのですが、そういう人が出てこないのが不思議です。




とはいえ、若い頃に音楽に熱中していた方々が、結婚し家庭生活に追われるうちにすっかり音楽を忘れてしまうというのも事実です。さらに、今の若者にしたって、マライヤ・キャリー ブリトニー・ピアーズ マドンナ ビヨンセなんていう洋楽を熱心に聴く人口というのは人口比でいえば極めて少ないらしいのです。読書が日常になっている人口が全体のたった10%しかない(最近知りました)と同様に、音楽は一生の友という人口の少なさはきっと私の想像以上であるのでしょうね。


内田樹さんが著書のなかで「俺たちはビートルズ世代だ」という壮年に詳しく聞けば、実際にビートルズを聴いていた人間は極少数で、巷で騒がれていたのが記憶にあるだけであるというような趣旨のことを書いておられたことがありました。そうしてみれば、六十〜七十代(巣鴨)の桂銀淑(ケ・ウンスク)欧陽菲菲 アグネス・チャン テレサ・テンなんていう選択も、自分が聞いていたというよりは巷に流れていただけの歌手を無理から思い出しただけ?


音楽って実はその程度のものなのですね。あなたの周りではいかがですか?