名演その25〜聴こえるはずのないハイハットの音が

clementia2008-01-10



うかつにも、昨年富樫雅彦さんが亡くなっていたことを知らずにいました。


昨今ではジャズの分野でも若き天才の大安売りが続いていますが、富樫雅彦こそはまさに本物の若き天才でした。


十代でドラマーとして渡辺貞夫さんのグループで演奏し、衝撃的なデビューをした後も天才の名を欲しいままにしてきました。奥さんに刺されて下半身不随になるというドラマーとしては致命的なハンディキャップを負いながら、ハイハットバスドラムも使わずにパーカッションニストとして数々の名演奏を繰り広げてきました。


競演した多くの一級のプレーヤーたちが「聴こえるはずのないハイハットの音(左足で操ります)が聴こえた」と言うほど、彼の演奏は繊細で感動的です。


あらゆる賞を総なめにした「スピリチュアル・ネイチャー」が名盤であることは否定しませんが、私が大好きなのは
”The Ballad My Favorite ”
 盟友佐藤允彦のピアノとアレンジメントは「なんでこの才能を日本人はもっと評価しないのか!」と強く思うほどの秀逸ですし、富樫さんのドラム(パーカッション)は何も聞かされなければ半身不随のミュージシャンの仕業には絶対に思えません。ベースは高水健二さん、現在才能ある有名ミュージシャンのサポートにあらゆるところで顔を見る名バイプレーヤー(例えばユウミンが海岸で歌っているCMとか井上陽水のあらゆるライブとか今井美樹のライブとか)


日本人が録音したバラード集アルバムの中で最高峰といえるアルバム、聴いてみて損はしないはずです。