伝統の力


昨日の続き


中学高校の合唱コンクールをみて感じるのは指導者の力です。野球のようにスター選手でなりたつチームと違って、合唱にはスターソリストは必要ありません。どんぐりの背比べ、素人同然の子供たちをどのように訓練して、どうやって曲つくりをしていくかのほとんどは指導者の能力によるのです。


私の場合、合唱の経験はほとんどありませんが、中学高校の6年間ブラスバンドに在籍していましたので、指導者によってどれほど音楽の出来が違うかは身をもって知っています。たった、三年間で素人集団をプロ顔負けに仕立てるのです。ですから、全国大会常連校の先生(指導者)はたぶんいつも同じような顔ぶれになるはずです。昨年まで地方予選敗退だった学校が同じ先生でいきなり全国制覇はありえないのです。昨日書いたNコンの常連校、上位入賞校の教師の指揮法は見事しか言いようがなく、曲つくりの綿密さは精緻を極めています。あの指導者が別の環境に恵まれた学校へ転属すれば、二三年後にはそちらが全国大会にでられるようになるのです。


とはいえ、優れた指導者によってレベルが上がった学校には練習のノウハウが伝統として培われるということも間違いなくあります。ブラスバンド時代の6年間は全国大会なんぞ夢のまた夢、常に予選敗退の学校にいた私であったのですが、大学で所属したフルバンドは常に全国トップクラスにいるバンドでした。さすがに大学生になると音楽系のクラブに高校の教師のような指導者がいるわけではないのですが、上手いのが当たり前のバンドでもまれると、素人同然が知らぬ間に全国区レベルに引き上げられてしまうのです。地方予選敗退学生が全国区。「なんで?」・・・なのかはよくわかりませんが、こそんところが伝統の力というやつなんでしょうか。