靴その2


「足にぴったり合う靴がない」と嘆いている方がたくさんいると思います。先日お越しいただいた女性も「合う靴がなくてオーダーで頼んだんだけどやっぱりだめなのよねぇ」と諦めておられました。聞けば注文靴といっても木型から作るわけではなくて採寸して合わない部分は木槌で叩いて皮を伸ばしてあわせるくらいのオーダーなのだそうです。


昨日お話したようなジョン・ロブクラス、ベルルッティクラスですと、木型を作った後、仮縫いがあって調整するのだそうですから、同じオーダーメイドの名前がついていても手間のかけ方もまるで違います。さらにエルメス傘下に入ったジョン・ロブには世界の最上の皮がすべて集まるはずですから最高級ができるのは間違いありません。


もちろん私はオーダーメイドの靴など注文したことなど一度もありませんが、「靴が足に合わない」という悩みは同じようにもっていました。ところが20年ほど前にであったクロケット&ジョーンズやJ.M.ウェストンならぴったり合ってしまうのです。何時間履いていても違和感もなく痛くもなりません。日本の某有名メーカーの靴は様々なサイズの様々な値段を試してみても我慢を強いなければ履くことができなかったのに・・・です。これってそもそもの靴作りの技術が根本的に違うんじゃぁないでしょうか。関税の関係もあって庶民には立派な値段に感じますが、20年を経ても全く飽きず、型も崩れず・・・むしろ味わいが出て、磨くのが楽しい靴であるなら結局は賢い買い物であったのだなと納得しきっています。


さらに納得するするために、いつかロンドン〜ジョン・ロブもしくはエドワード・グリーン、パリ〜ベルルッティもしくはJ.M.ウェストンあたりでオーダーできるような身分になってみたいものです。お得意様の履いているベルルッティの数々・・・そりゃもうウットリの品々なんですから。